「当日はよろしくお願いします」は日常会話でも耳にする表現ではありますが、ビジネスの現場では特に頻出します。たとえばイベントやセミナーに参加を依頼する際、日程調整を完了させた後のメールの結び、あるいは顧客に対して打ち合わせ依頼を行うときなど、多様な場面で重宝される言葉です。一見、簡単な一文のように見えますが、ビジネスならではの微妙なニュアンスが隠れているため、正しく使うことで相手との良好な関係を築きやすくなるでしょう。
本記事では、「当日はよろしくお願いします」という表現がビジネスシーンで具体的にどのように用いられるか、その意味や使い方の注意点、類似表現との比較、メールや口頭で使用する際のポイントなどを徹底的に解説します。正しい理解を深めることで、社内外とのコミュニケーションがよりスムーズかつ円滑になるはずです。
「当日はよろしくお願いします」の基本的な意味
相手へのお願い・敬意・感謝の気持ちを一度に伝える
「当日はよろしくお願いします」は、前述した通り「当日のイベントやミーティングが問題なく進行できるよう、ご協力ください」という趣旨のお願いに加え、敬意や感謝を含んだ日本語特有の丁寧な挨拶文です。「よろしくお願いします」自体が広い意味を持つ言葉ですが、そこに「当日」という日時を強調することにより、「その日を一緒にサポートしてほしい」「その日には改めてお世話になります」という未来の時点における依頼表現となります。
日本語には「よろしくお願いします」や「お世話になります」など、直接的に「~してください」と言わずに相手を尊重しつつ頼む言い回しが多数存在します。ビジネス上のやり取りでこのような言い回しをマスターしておくと、相手に丁寧な印象を与えつつ、自分の気持ちを柔らかく届けることができるでしょう。
「相手との信頼関係を築きたい」という前向きなサイン
「当日はよろしくお願いします」という言葉が持つもう一つの側面として、「信頼関係を築きたい」という前向きなサインでもある点が挙げられます。ビジネスで何か共同作業を行う場合、相手への丁寧な配慮やお礼の気持ちを伝えることは良好な関係を築く第一歩です。単に敬語を並べるのではなく、相手の立場を考慮した柔らかい言い回しをすることで、「一緒に成功させたい」「協力体制を築きたい」という想いが伝わりやすくなります。
また、メールや口頭で「当日はよろしくお願いします」と伝える際には、あらかじめ必要な情報を確認しておくと、なお効果的です。たとえば、イベント準備における役割分担や準備物、打ち合わせ資料の詳細などをきちんと共有したうえで「当日はよろしくお願いします」と締めくくれば、スムーズに進行できる見込みが高まります。
「当日はよろしくお願いします」が使われる具体的なシーン
打ち合わせや商談のアポイント後
営業担当者などがクライアントや取引先とミーティングを設定し、日時と場所が確定した段階でメールや電話を通じて「当日はよろしくお願いします」と伝えるのはごく一般的です。これによって、「日程が確定しました」「当日に改めてご協力お願いします」という二重の意味を相手へ届けることができます。
例文
「○月○日にお時間を頂戴しありがとうございます。当日お会いできますことを楽しみにしております。何とぞよろしくお願いいたします。」
セミナーやイベントなどの参加依頼
自社主催のセミナーやイベントにゲストや参加者を招待する場合も、招待状や事前連絡メールの結びに「当日はよろしくお願いします」というフレーズを使います。日時や場所、プログラム詳細などを丁寧に記載し、最後にひとこと添えることで、「準備万端で当日お迎えします」「皆さまのご協力を得ながら運営していきます」という意思表明にもなります。
例文
「このたびのセミナーへご参加いただきありがとうございます。当日の受付は13:00より開始いたします。ご不明な点がございましたらお気軽にお知らせください。当日はよろしくお願いいたします。」
社内行事や会議での連絡
社内での行事(キックオフミーティング、プロジェクト定例会、表彰式など)を行う際にも、「当日はよろしくお願いします」を使うケースが多々あります。特に大人数が集まる会議やイベントでは、事前準備への協力や段取り確認が重要になります。メールやグループウェアで一斉連絡する際に、「当日はよろしくお願いします」と締めくくることで、従業員全員に向けて協力を要請する意味合いを一文に集約できます。
「当日はよろしくお願いします」使用上の注意点
直前連絡として乱発しない
「当日はよろしくお願いします」は、予定が近づいたタイミングで送ると効果的なフレーズですが、あまり頻繁に同じ文言を送りすぎると、相手によっては「しつこい」「催促が多い」と感じさせる可能性があります。何か変更事項があれば仕方ありませんが、特に変更もないのに「念のため」「確認のため」など理由をつけて複数回送るのは避けたほうが無難でしょう。
依頼内容や目的を明確にしてから締めくくる
「当日はよろしくお願いします」は魔法の言葉ではありません。たとえば「イベント当日の設営を手伝ってほしい」「打ち合わせに関係する資料を事前に用意してほしい」といった具体的な依頼がある場合、まずはその依頼事項をはっきり伝えてから、このフレーズで締めくくるようにしましょう。相手が何をするべきなのかを正確に把握しているかどうか確認することが重要です。単に挨拶のように「当日はよろしくお願いします」だけで終わらせてしまうと、相手によっては何を「よろしく」されているのか分からないままになり、当日に混乱を招くおそれがあります。
簡潔かつ丁寧に
ビジネスメールや口頭連絡で重要なのは「分かりやすい」「簡潔」「失礼がない」ことです。長々と前置きが続き、結論が曖昧なまま「当日はよろしくお願いします」で締めくくってしまうと、相手は肝心の要点を見失いやすくなります。そのため、まずは要件を明確に伝え、必要があれば補足説明を挟んだうえで、最後に「当日はよろしくお願いします」と一文入れると、全体としてスマートな印象を与えられるでしょう。
類似表現との違いや使い分け
「当日はお世話になります」
「当日はお世話になります」は「当日はよろしくお願いします」と似た意味合いを持ちます。ただし、「お世話になります」は相手に何らかのサポートをしてもらうことが前提となる表現です。たとえば、取引先のオフィスに訪問する場合や、先方が準備を担うイベントに参加する場合などは、「お世話になります」という方がやや自然に響きます。
一方、自分が主催・準備する立場で、「協力をお願いする」というニュアンスが強い場面では「当日はよろしくお願いします」のほうがしっくりくるケースも多いでしょう。
「楽しみにしています」「ご都合いかがでしょうか」
ビジネス上のやりとりでは、相手に好印象を与えるためにポジティブな表現を組み合わせることも効果的です。
- 「楽しみにしています」
- 「ご期待ください」
- 「ご不明点ございましたらお気軽にご連絡ください」
こういったフレーズを「当日はよろしくお願いします」とセットで使うと、一方的にお願いするだけではなく、「前向きな気持ちを共有する」「相手が安心して参加できるようにする」という目的を達成しやすくなります。
「何卒よろしくお願いいたします」
よりフォーマルなビジネス文書や、公的な機関とのやりとりなどでは「何卒(なにとぞ)よろしくお願いいたします」を使う場合が多いです。よりかしこまったニュアンスを加えたい場合には、「当日は何卒よろしくお願いいたします」と表現してもよいでしょう。ただし、その分、少し硬い印象になるため、場面や相手に合わせて使い分けることが大切です。
メールや文書での具体的な使用例
以下に、メールでのやりとりを想定した例文をいくつか紹介します。シチュエーションによって微妙に文面を変えているので、参考にしてください。
イベント参加依頼メール(自社主催)
件名:○月○日開催セミナーのご案内 ○○株式会社 △△部 □□様 いつも大変お世話になっております。▲▲株式会社の山田です。 先日ご案内いたしました○月○日開催のセミナーにつきまして、改めて詳細をご連絡申し上げます。 【日程】○月○日(火) 14:00~17:00 【場所】弊社セミナールーム(東京都中央区○○ビル3階) 【内容】最新トレンドに関する講演および質疑応答 当日は受付を13:30より開始いたします。お忙しいところ恐縮ではございますが、ぜひご参加いただけますと幸いです。 ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。 当日はよろしくお願いいたします。 ---------------------- ▲▲株式会社 営業企画部 山田 太郎 TEL:03-1234-5678 E-Mail:t.yamada@xxxx.co.jp ----------------------
打ち合わせアポイントメール(訪問する側)
件名:○月○日の打ち合わせにつきまして ○○株式会社 営業部 □□様 お世話になっております。▲▲株式会社の山田です。 このたびはお忙しい中、打ち合わせのお時間を頂戴しありがとうございます。 ○月○日(木)13:00より貴社オフィスにお伺いする予定でおります。 当日は、弊社新商品の概要と活用事例をご紹介させていただきたいと考えております。 必要に応じて追加でご説明いたしますので、何かございましたら事前にご連絡いただけますと幸いです。 それでは当日、お目にかかれるのを楽しみにしております。 何とぞよろしくお願いいたします。 ---------------------- ▲▲株式会社 営業部 山田 太郎 TEL:03-1234-5678 E-Mail:t.yamada@xxxx.co.jp ----------------------
社内会議のリマインド連絡
件名:【リマインド】プロジェクト定例会のご案内 社内各位 お疲れ様です。プロジェクトリーダーの山田です。 先週ご連絡いたしました通り、下記日時にて定例会を開催いたしますので改めてお知らせいたします。 【日時】○月○日(水) 10:00~11:00 【場所】第一会議室(3階) 【議題】○○プロジェクトの進捗報告・今後のスケジュール確認 等 当日は、チームごとの進捗資料を事前に共有いただけますようお願いいたします。 皆さまのご協力をお願いいたします。 何かご不明点があれば、私宛にご連絡ください。 当日はよろしくお願いいたします。 ---------------------- 山田 太郎(プロジェクトリーダー) TEL:内線1234 E-Mail:t.yamada@company.co.jp ----------------------
口頭でのコミュニケーションで使う際のポイント
メールやチャットだけでなく、対面や電話での口頭コミュニケーションでも「当日はよろしくお願いします」はよく使われます。たとえば打ち合わせの日程を決めて締めくくるとき、イベントの案内を行うときなどです。以下のポイントを押さえると、よりスムーズに伝わります。
- 日時・場所を明確に伝えてから
「○月○日の○時ですね。それでは当日はよろしくお願いいたします」といった具合に、まずは日時と場所を再確認しましょう。口頭だと相手が聞き漏らしている可能性があるため、確認を兼ねて口頭で再度繰り返すことが大切です。 - 必要な準備や持参物を事前に伝える
「当日はよろしくお願いします」と言う前に、相手に準備してもらう必要がある資料や持ち物がある場合はしっかり伝えます。相手が「了解しました」と答えてくれれば、当日の混乱が減り、スムーズにミーティングやイベントを行えます。 - 表情や声のトーンにも気を配る
直接言葉を交わす場合は、表情や声の調子から相手の感情を推し量ることができます。笑顔でハキハキと「当日はよろしくお願いします」と伝えるだけでも、相手に与える印象は大きく変わります。電話の場合でも、明るいトーンやゆっくりめのスピードで話すよう意識してみてください。
「当日はよろしくお願いします」を使うメリット
- コミュニケーションの円滑化
当日の協力を仰ぎたい場面で、このフレーズを使うことで相手に好意的かつ柔らかく協力を依頼できます。ビジネス関係では単刀直入に「~してくれ」と言いづらいことが多く、そうした遠回しなお願い事に最適な言い回しです。 - 相手への敬意を示せる
「よろしくお願いします」は日本語特有の丁寧な依頼表現であり、敬意と感謝が含まれています。特に、自分が主催・リードする場面であっても、「当日はよろしくお願いします」と添えることで、相手に対する配慮や感謝の気持ちを示せます。 - 信頼関係を構築しやすい
「当日は」という言葉を添えることで、その日までに互いに準備を整え、当日にベストを尽くそうとする気持ちが伝わります。結果として、相手との信頼関係を築きやすくなり、今後のビジネスをスムーズに進めやすくなります。
「当日はよろしくお願いします」の英語表現
海外のクライアントやパートナーとやりとりする際に、同様のニュアンスを英語で伝える場合は、以下のように表現されることが多いです。
- I look forward to meeting you on [the day].
- Thank you in advance for your cooperation on [the day].
- I appreciate your support/assistance on [the day].
日本語の「よろしくお願いします」は英語に直訳するのが難しいため、一般的には上記のような言い回しで「協力に対する感謝や期待感」を伝えます。特に「I look forward to ~」はよく使われる定型表現です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 「当日はよろしくお願いします」の前にどのような文言を入れたらいいですか?
A. 具体的には、日時・場所・議題・持ち物などの情報を記載したうえで、その後に「当日はよろしくお願いします」を入れましょう。相手が安心して当日に臨めるよう、詳細を整理して伝えることが重要です。
Q2. 「当日はよろしくお願いします」というフレーズだけで失礼にはなりませんか?
A. 文脈次第です。相手に何を依頼しているのか明確に伝えたうえで、締めとして使う分には失礼になりません。ただし、要件がはっきりしておらず、ただ挨拶だけで終わる形だと混乱を招く可能性がありますので注意してください。
Q3. 「当日はよろしくお願いします」をもっとフォーマルにしたい場合は?
A. 「当日は何卒よろしくお願いいたします」「当日は何とぞよろしくお願い申し上げます」とすることで、より改まった印象を与えられます。ただし、使いすぎると硬い印象ばかりが際立つため、ビジネス相手や場面に応じて調整しましょう。
Q4. 当日の直前にもう一度連絡を入れたい場合はどうすればいい?
A. 同じ表現をそのまま使うと冗長になりがちです。「明日はどうぞよろしくお願いいたします」「ご準備等ありがとうございます。当日どうぞよろしくお願いいたします」など、少しアレンジを加えて自然に伝えるようにするとよいでしょう。
まとめ
ここまで解説してきたように、「当日はよろしくお願いします」というフレーズはビジネスシーンで非常に汎用性が高く、相手に協力を依頼するうえで欠かせない表現の一つです。単純な挨拶文にとどまらず、「事前準備への協力依頼」「当日に向けた期待」「相手への敬意や感謝」を内包しているため、メールや口頭で上手に活用することでビジネスコミュニケーションがスムーズになります。
一方で、使い方を誤ると、相手に「具体的に何を求められているのか分からない」「連絡をたびたびもらいすぎて面倒くさい」などの印象を与えるリスクもあるため、以下のポイントを意識して活用しましょう。
- 具体的な依頼内容を明確にしたうえで使う
- 必要以上に繰り返さない
- シーンに応じて他の表現とも組み合わせる
- 口頭の場合は確認・再認識のために日時・場所を繰り返す
- 前向きな気持ちや相手への感謝の言葉を添える
このような基本を押さえておけば、たとえ「当日はよろしくお願いします」という定番表現であっても、単なる決まり文句ではなく、相手との信頼関係を深めるための有効なコミュニケーションツールとなるでしょう。相手とのやりとりでこのフレーズを使う際は、ぜひ本記事を振り返りながら、自分の言いたいことが正しく伝わっているか再確認してみてください。