整体師について、仕事内容、年収、やりがいなどを解説

最終更新日:2025年1月31日
整体師

整体師は、手技を用いて身体の歪みを整え、筋肉や関節の機能を改善し、痛みや不調を軽減する専門職です。彼らは、自然治癒力を引き出すことを目的として、整体の手法を駆使し、患者の健康をサポートします。整体師は、整体院、リハビリテーション施設、スポーツ施設、健康施設などで働くことが多く、個人開業することもあります。

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整体師の概要

整体師とは

整体師(せいたいし)とは、身体のゆがみや筋肉の緊張を整え、自然治癒力を高めることを目的とした手技療法を行う施術者を指します。整体は“筋肉や骨格のバランスを正す”ことを主眼とした施術法であり、腰痛や肩こり、姿勢の矯正など、さまざまな不調の緩和をサポートします。

しかし、日本においては「整体師」は国家資格ではありません。整体はカイロプラクティックやオステオパシーなどと同様に、民間療法や代替医療の一つと位置づけられています。そのため、整体師として活動するために必須となる国家資格はなく、民間スクールや通信講座で学び、民間資格を取得して独立・開業するケースが一般的です。

整体師の歴史と背景

「整体」は、古来よりある手技療法の一種とされますが、明確に“整体”という名称が定着したのは比較的近年です。日本では江戸時代から明治期にかけて「柔術(古武術)」の流れを汲む施術や、中国医学の流入によって生まれたさまざまな手技が融合し、整体の基礎が形成されました。現在では、現代医学の考え方と組み合わせながら、筋肉や骨格に対する刺激法が多様化し、整体院の数も増えています。

整体と他の施術との違い

整骨院・接骨院との違い

「整骨院」「接骨院」は国家資格である柔道整復師が施術を行う施設です。柔道整復師は骨折や脱臼、捻挫などの外傷を取り扱い、保険診療が適用されることがあります。一方で、整体院は国家資格ではなく、保険診療も原則として適用されません。

  • 施術の対象
    • 整骨院・接骨院:骨折、脱臼、捻挫などケガの治療が主
    • 整体院:肩こり、腰痛、姿勢不良など体の不調全般
  • 資格の違い
    • 整骨院・接骨院:柔道整復師(国家資格)
    • 整体院:資格必須ではなく、民間資格を取得しているケースが多い

マッサージ師との違い

マッサージ師(あん摩マッサージ指圧師)は、国家資格である「あん摩マッサージ指圧師免許」を取得した上で、筋肉をほぐす・血行を促進させる施術を行います。一方、整体師は骨格の歪みや関節の可動域に注目し、筋肉と骨格のバランスを調整する手技を行うのが特徴です。

  • マッサージ師:筋肉をほぐし、血行やリンパの流れを改善
  • 整体師:骨格と筋肉のバランスを整え、身体のゆがみを改善

カイロプラクティックとの違い

カイロプラクティックは、アメリカ発祥の脊椎を中心とした骨格矯正療法です。世界各国で教育機関が整備されており、国によってはカイロプラクターとしての資格制度が確立されています。日本では法制度上、整体と同様に民間療法の位置づけです。主に背骨(脊柱)の矯正にフォーカスすることが多く、高い専門性と理論的裏付けを基に施術を行う点で整体と近しい部分がありますが、学校・団体によって学ぶ内容がやや異なります。

整体師の具体的な仕事内容

カウンセリング

施術前には、カウンセリングを行って顧客の身体の不調や生活習慣、過去のケガや病気の有無などをヒアリングします。また、姿勢チェックや可動域の確認など、実際に体を見て問題点を特定することも重要です。

  • 問診票の記入
  • 生活習慣・症状のヒアリング
  • 身体の歪みや姿勢のチェック

施術

顧客ごとの不調の原因を探り、適切な手技を用いて施術を行います。主な施術法として、以下のようなものが挙げられます。

  • 骨格調整(脊椎・骨盤など)
  • 筋肉へのアプローチ(指圧やストレッチなど)
  • 関節のモビリゼーションや矯正

整体師は身体の構造や力学などを学び、痛みや負担の少ない施術を心がける必要があります。また、女性向けの産後骨盤ケアや美容整体、スポーツ選手向けのコンディショニング整体など、専門領域を設けて差別化を図る整体院も少なくありません。

アドバイス・セルフケア指導

施術後には、セルフケアの方法や生活習慣の改善点をアドバイスすることも整体師の重要な役割です。自宅でできるストレッチ体操姿勢のコツ、あるいは運動頻度睡眠環境など、多角的にアドバイスを行うことで施術効果の持続と再発予防をサポートします。

サロン業務(接客・予約管理など)

個人開業の場合は特に、電話対応、ネット予約の管理、SNSマーケティング、顧客管理など、サロン経営に関わる全般業務を行う必要があります。複数人で運営する場合でも、施術者としての業務と受付業務などを兼任するケースも多いです。

整体師になるには?必要な資格や学習方法

国家資格は不要

前述の通り、日本には整体師に対して必須の国家資格は存在しません。よって、極論すると「整体師」と名乗って施術を行うこと自体に法律上の制限はありません。ただし、安全面や信頼性、就職・集客の観点からは、何らかの民間資格を取得しておくことが一般的です。

民間スクールや専門学校

整体師として必要な知識と技術を学ぶためには、整体スクール専門学校に通うのが代表的な方法です。授業では解剖学や生理学など基礎医学のほか、触診や実技、カウンセリング術などが学べます。修了後は民間資格が取得できる場合が多く、履歴書やホームページ等に「○○整体スクール修了」と記載でき、信用性の向上につながります。

スクール選びのポイント

  1. カリキュラムの充実度
    • 座学(解剖学・生理学・運動学)と実技のバランス
  2. 講師の経歴や実績
    • 国家資格保持者や業界経験豊富な整体師が講師を務めているか
  3. 授業形態・受講時間
    • 通学制・通信制・週末コースなど、自分のライフスタイルに合った形式か
  4. サポート体制
    • 卒業後の就職先紹介や開業支援、勉強会への参加機会など

通信講座や独学

近年では通信講座による学習も注目されています。映像教材やテキストで基礎理論を学び、スクーリング(実技講習)で直接指導を受けるハイブリッド方式が一般的です。また、YouTubeなどの無料動画を活用して独学で技術を身につける人もいます。しかし、独学だけでは正確な触診や安全な矯正技術を身につけるのは難しいため、プロの指導を受けることが望ましいでしょう。

学習の継続が大切

人の体は個々に異なり、新しい技術や理論も日々進歩しています。整体師として質の高い施術を提供し続けるためには、常に学習と経験を積むことが欠かせません。資格取得後もセミナーや勉強会、オンライン講座などで知識・技術をアップデートする姿勢が重要です。

整体師の収入とキャリアパス

整体師の平均収入

整体師の平均収入は、勤務先の形態や地域、経験年数によって大きく異なります。統計データが限定的ではありますが、一般的に整体院での雇用の場合、

  • 月収:18万円〜30万円程度
  • 年収:250万円〜400万円程度

といったケースが多いとされています。技術力や集客力が高まれば、施術単価を上げたり指名客を増やすことで収入もアップしていきます。また、完全歩合制(業務委託)で働く場合、施術をこなした分だけ収益が増える一方、集客が少ないと収入が不安定になるリスクもあります。

開業・独立での収益

整体師は開業しやすい職種として知られています。自宅の一室や小規模のテナントを借りれば、比較的低コストで整体院を開設することができます。開業後の収入は、

  • 施術単価 × 1日の施術人数 × 営業日数
    で大きく左右されます。例えば施術単価5,000円、1日5名の施術、月25日営業とすると月収入は約62万5,000円となります。一方で、家賃や光熱費、広告宣伝費、人件費(スタッフを雇う場合)などの経費がかかるため、安定した運営には一定の経営知識と資金計画が必要です。

キャリアパス

整体師は独立開業だけでなく、さらなるスキルアップやキャリアの幅を広げる方法があります。

  • スポーツトレーナー:アスリートのコンディショニングをサポート
  • リハビリ施設でのケアスタッフ:ただし施設によっては国家資格が必要な場合あり
  • 美容整体:ダイエットサポートや小顔矯正など美容面を重視

また、整体をベースにカイロプラクティックオステオパシーなどを学び、施術の幅を広げる整体師も増えています。多角的な技術を習得することで、競合他社との差別化にもつながります。

整体院の開業・独立に必要なステップ

開業資金の準備

テナントを借りる場合、初期費用として敷金・礼金、内装費などが必要です。物件の立地や状態によって金額は異なるものの、数十万円〜数百万円程度を見積もる必要があります。自宅を改装して開業する場合は、費用を抑えられますが、間取りや騒音対策などの兼ね合いも検討しなければなりません。

物件探しと内装

整体院は顧客のアクセスのしやすさや店舗の雰囲気が重要です。駅から徒歩圏内の場所や、駐車場が確保できる立地などを選ぶことで集客に有利になります。内装は清潔感とリラックスできる雰囲気が望ましいため、照明音楽インテリアにこだわることも重要です。

施術ベッドや備品の準備

開業に必要な施術用ベッド、タオル、消耗品、受付カウンターや待合スペースの椅子などの備品・設備を揃えます。施術ベッドだけでも、安価な簡易ベッドから高品質な電動ベッドまでさまざまな種類があり、価格にも大きな差があります。

  • 安価な折りたたみタイプ:2〜3万円程度
  • 高級電動タイプ:数十万円〜100万円以上

集客とマーケティング

開業時には、チラシ配りSNS活用ホームページ作成ネット広告などを駆使して集客活動を行います。リピーターを増やすためにも、LINE公式アカウントでのクーポン配信や、回数券販売などのリピート施策が効果的です。また、顧客からの口コミ紹介は非常に強力な宣伝手段となるため、満足度の高い施術と丁寧な接客を心がけましょう。

整体師のやりがいと魅力

直接「ありがとう」と言われる喜び

整体師は、施術を通して顧客の身体の悩みを直接サポートできます。「肩こりが楽になった」「腰痛が改善して日常生活が快適になった」といった声を聞くことで、施術者自身も大きなやりがいを感じます。

自己成長と独立のしやすさ

技術と知識を磨くことで、顧客満足度を高めることができ、それがダイレクトに自分の評価や収入に結びつきます。また、整体は大がかりな設備を必要としないため、自宅開業など独立しやすいのも大きな魅力です。

多彩な分野への応用

整体の技術や知識は、スポーツトレーニングや美容、リラクゼーションなど多岐にわたって応用が可能です。特定の分野に特化したり、幅広い領域をカバーしたり、キャリアを柔軟に構築できる点も魅力と言えます。

整体師の注意点・リスク

国家資格ではないことによる制限

整体師は医療行為が認められていません。たとえば、骨折や脱臼などは柔道整復師の領域であり、保険適用の診療行為も行えません。誤って医療行為とみなされる施術を行うと、法的な問題が生じる可能性があるため、あくまで民間療法としての立場を理解することが重要です。

収入の不安定さ

雇用される場合でも歩合制が多く、開業すると集客次第で収入が大きく変動します。経営が軌道に乗るまでの間は、生活費のやりくりや資金繰りに苦労することも少なくありません。

施術による身体的負担

人の体を相手にする施術は、整体師自身の体にも負担がかかりやすいです。腰や手首を痛める整体師も多いため、正しい施術姿勢道具選び、日頃のセルフケアが欠かせません。

整体業界の現状と今後の展望

整体院の増加

昨今は健康意識の高まりやリラクゼーションブームなどを背景に、整体院の数は増加傾向にあります。地域によっては競争が激しく、差別化の必要性がますます高まっています。

高齢化社会と整体の需要

日本は高齢化社会に突入し、筋力低下や関節痛、慢性的な腰痛・肩こりなどに悩む方が増えています。医療機関だけでは対応しきれない軽度の慢性不調などに対して、整体がサポートできる領域は広がっており、今後も需要は継続すると考えられます。

ウェルネス産業との連携

整体院は、リラクゼーションサロンやエステサロン、フィットネスジムなどと提携し、より総合的な健康管理サービスを提供する動きも見られます。オンラインでセルフケア指導を行う整体師も増え、デジタル技術との融合による新たなビジネスチャンスが期待されています。

整体師に向いている人の特徴

  1. 人の役に立つことが好き
    直接「ありがとう」と言われる仕事に喜びを感じる人。
  2. 学習意欲が高い
    解剖学や生理学、施術技術は常に進歩するため、勉強し続ける必要がある。
  3. コミュニケーション力がある
    カウンセリングやリピート客の確保には、信頼関係の構築が欠かせない。
  4. 体力や健康管理に気を使える
    長時間立ち仕事や施術姿勢を保つため、自身の健康管理が重要。

まとめ:整体師として活躍するために

整体師は、身体の不調や悩みを抱える多くの人々をサポートできる魅力的な職業です。国家資格を必要としないため、努力次第で比較的早く現場デビューが可能ですが、その分「安全・確実な施術を行えるスキル」と「信頼されるコミュニケーション能力」が問われます。実力を磨けば収入面でも大きな可能性があり、独立開業もしやすいという利点があります。

一方で、競合の増加や医療行為に対する法的な制約など、業界を取り巻く環境は厳しくなっています。質の高い施術を提供するだけでなく、しっかりとしたマーケティング戦略や経営センスが必要です。今後も高齢化や健康ブームに伴い、整体師の需要は一定数見込まれるため、正しい知識と技術を学び続けることで、多くの人々の健康を支えながら成功をつかむチャンスが広がっていると言えるでしょう。

以上が、整体師という職業の概要や仕事内容、資格取得、キャリアパス、将来性についての総合的な解説です。この記事が「整体師」について調べている方や、これから整体師を目指す方にとって役立つ情報となれば幸いです。

【ポイント】

  • 整体師は国家資格不要:自由度が高い反面、技術・知識の質を自己責任で高める必要がある
  • 学び続ける姿勢が重要:解剖学・生理学の知識、施術技術をアップデート
  • 開業のハードルが低い:低コストでも可能だが、集客・経営には工夫が必要
  • 高齢化・健康ブームで需要拡大:整体師の活躍領域はさらに広がる可能性がある

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