はり師・きゅう師とは、仕事内容、年収、やりがいなどを解説

はり師・きゅう師は、東洋医学の一環として鍼（はり）や灸（きゅう）を用いて患者の治療を行う専門職です。身体の特定の部位に刺激を与えることで、痛みの軽減や健康の改善を目指します。はり師は鍼を用いた治療を、きゅう師は灸を用いた治療を行いますが、両方の資格を持つことも一般的です。本記事では、はり師・きゅう師の仕事内容、年収、必要なスキル、やりがい、そしてなり方について詳しく解説します。

はり師・きゅう師の仕事内容

初診と問診

はり師・きゅう師の仕事は、初診時の問診から始まります。患者の症状や生活習慣、病歴などを詳しく聞き取り、治療の方針を決定します。

治療計画の立案

問診の結果に基づき、個々の患者に適した治療計画を立案します。治療の目的や期間、使用する技法などを患者に説明し、同意を得ます。

鍼治療

はり師は、身体の特定の経穴（ツボ）に鍼を刺入して治療を行います。鍼の深さや角度を調整し、痛みや不調の原因を改善します。使い捨ての鍼や滅菌された鍼を使用し、安全と衛生に細心の注意を払います。

灸治療

きゅう師は、もぐさを用いた灸を経穴に施します。灸の温熱刺激により血行を促進し、痛みや炎症を軽減します。灸治療も患者の状態に合わせて適切な施術を行います。

継続的なケア

はり師・きゅう師は、定期的な治療を通じて患者の健康状態を継続的にケアします。治療効果を確認し、必要に応じて治療計画を修正します。

健康指導

はり師・きゅう師は、患者の健康を総合的にサポートするため、生活習慣や食事、運動などの健康指導も行います。患者が自宅でできるセルフケアの方法も指導します。

はり師・きゅう師の年収

平均年収

はり師・きゅう師の平均年収は、約300万円から500万円程度です。これは、勤務する地域や施設の規模、経験年数、スキルレベルによって異なります。個人開業している場合や、評判の高い治療院で勤務している場合は、さらに高い収入を得ることができます。

初任給と年収

はり師・きゅう師の初任給は約20万円から25万円程度で、年収に換算すると約240万円から300万円程度となります。初任給は比較的低めですが、経験とスキルの向上に伴い、収入は増加します。

年齢別の年収

はり師・きゅう師の年収は、経験とともに増加します。以下は、一般的な年齢別の平均年収の例です。

• 20代: 平均年収は約240万円から350万円です。初任のはり師・きゅう師として経験を積み、基本的なスキルを習得します。
• 30代: 平均年収は約350万円から450万円です。中堅のはり師・きゅう師として、より多くの患者を担当し、スキルを向上させます。
• 40代: 平均年収は約450万円以上です。ベテランのはり師・きゅう師として、高い評価を得ることが求められます。

はり師・きゅう師になるには

専門学校や大学での学習

はり師・きゅう師になるためには、専門学校や大学で鍼灸学を学ぶことが必要です。これにより、基礎的な知識と技術を習得します。一般的には3年以上の学習が必要です。

国家試験の合格

はり師・きゅう師として働くためには、国家試験に合格する必要があります。国家試験では、東洋医学や西洋医学、衛生学、法規などの知識が問われます。しっかりと試験対策を行い、合格を目指します。

実習経験

専門学校や大学での学習期間中に、実習を通じて実務経験を積むことが重要です。実際の治療現場での経験を通じて、技術を磨き、患者対応のスキルを向上させます。

継続的な学習

はり師・きゅう師として成功するためには、継続的な学習が不可欠です。新しい治療技術や知識を学び続けることで、治療の質を高めることが重要です。

はり師・きゅう師に求められるスキル

技術的な知識とスキル

はり師・きゅう師には、高い技術的な知識とスキルが求められます。経穴の位置や鍼の刺入方法、灸の使い方など、正確な技術が必要です。

コミュニケーション能力

はり師・きゅう師には、高いコミュニケーション能力が求められます。患者の症状や悩みを正確に理解し、適切な治療を行うためには、優れた対話スキルが必要です。

観察力と分析力

はり師・きゅう師には、観察力と分析力が求められます。患者の状態を的確に観察し、症状の原因を分析する能力が必要です。

問題解決能力

はり師・きゅう師には、優れた問題解決能力が求められます。患者の症状や治療の進行に応じて、最適な治療法を見つける能力が必要です。

組織力と時間管理能力

はり師・きゅう師には、組織力と時間管理能力が求められます。複数の患者を同時に担当し、効率的に治療を進める能力が必要です。

はり師・きゅう師に向いている人

人と接することが好きな人

はり師・きゅう師は、人と接することが好きな人に向いています。患者との対話を楽しみ、信頼関係を築くことが重要です。

コミュニケーションが得意な人

はり師・きゅう師は、コミュニケーションが得意な人に向いています。患者の症状や悩みを正確に理解し、適切な治療を行う能力が求められます。

技術に興味がある人

はり師・きゅう師は、技術に興味がある人に向いています。鍼や灸の技術を習得し、治療に応用することに喜びを感じることが重要です。

問題解決が得意な人

はり師・きゅう師は、問題解決が得意な人に向いています。患者の症状や治療の進行に応じて、最適な治療法を見つける能力が必要です。

はり師・きゅう師の働く環境

鍼灸院

はり師・きゅう師は、鍼灸院で働くことが一般的です。個人開業することも多く、自分のペースで治療を行うことができます。

医療施設

はり師・きゅう師は、病院やクリニックなどの医療施設でも働きます。西洋医学と東洋医学を組み合わせた治療を提供することができます。

介護施設

はり師・きゅう師は、介護施設でも働きます。高齢者の健康維持や痛みの緩和を目的とした治療を行

います。

スポーツ施設

はり師・きゅう師は、スポーツ施設でも活躍します。アスリートのケアやリハビリテーションを担当し、競技パフォーマンスの向上をサポートします。

はり師・きゅう師のやりがい

患者の健康改善

はり師・きゅう師は、患者の健康改善にやりがいを感じます。痛みの軽減や症状の改善を通じて、患者が元気になっていく姿を見ることは大きな喜びです。

技術の向上

はり師・きゅう師は、技術の向上にやりがいを感じます。経験を積むことで技術力が向上し、より効果的な治療を提供することができます。

患者との信頼関係

はり師・きゅう師は、患者との信頼関係にやりがいを感じます。患者が治療に満足し、信頼してくれることは大きな満足感を得られます。

はり師・きゅう師の課題

高い責任感

はり師・きゅう師の仕事は、高い責任感が求められます。患者の健康に直接関わるため、常に正確で詳細な治療が必要です。

精神的なストレス

はり師・きゅう師の仕事は、精神的なストレスが課題です。患者の症状や治療の進行に対するプレッシャーを感じることがあります。

継続的な学習の必要性

はり師・きゅう師の仕事は、継続的な学習の必要性が課題です。新しい技術や知識を学び続けることが求められます。

はり師・きゅう師の将来展望

東洋医学の普及

東洋医学の普及に伴い、はり師・きゅう師の需要も増加しています。自然療法や代替医療への関心が高まる中で、はり師・きゅう師の役割が重要視されています。

高齢化社会への対応

高齢化社会に対応した治療のニーズが増加しており、はり師・きゅう師の需要も高まっています。高齢者の健康維持や痛みの緩和に貢献することが期待されています。

総合医療の発展

西洋医学と東洋医学を組み合わせた総合医療の発展に伴い、はり師・きゅう師の役割も拡大しています。医療の多様化に対応し、幅広い治療を提供することが求められます。

まとめ

はり師・きゅう師は、鍼や灸を用いて患者の治療を行う専門職であり、初診と問診、治療計画の立案、鍼治療、灸治療、継続的なケア、健康指導など多岐にわたる業務を担当します。年収は約300万円から500万円程度であり、はり師・きゅう師になるためには専門学校や大学での学習、国家試験の合格、実習経験、継続的な学習が必要です。求められるスキルには、技術的な知識とスキル、コミュニケーション能力、観察力と分析力、問題解決能力、組織力と時間管理能力が含まれます。はり師・きゅう師は、患者の健康改善、技術の向上、患者との信頼関係にやりがいを感じますが、高い責任感、精神的なストレス、継続的な学習の必要性が課題となります。将来展望として、東洋医学の普及、高齢化社会への対応、総合医療の発展が期待されています。

参考

• 日本鍼灸師会
• 厚生労働省