アーキビストとは、仕事内容、年収、やりがいなどを解説

アーキビストは、歴史的な文書や記録を収集、整理、保存し、利用者がアクセスしやすい形で提供する専門職です。図書館、博物館、企業の資料室、公共機関などで働き、文書や記録の管理と保存を行います。アーキビストは、文化遺産の保護と歴史的な資料の活用に貢献する重要な役割を担っています。

アーキビストの仕事内容

文書の収集と整理

アーキビストの主な仕事は、文書の収集と整理です。歴史的な文書や記録を収集し、適切に分類して整理します。これには、手書きの手紙、公文書、写真、地図など多様な資料が含まれます。

文書の保存と管理

収集した文書や記録を適切に保存し、長期的な保護を行います。保存環境を整え、温度や湿度を管理し、劣化を防ぐための措置を講じます。また、デジタル化を進めることで、文書の電子保存やアクセスの容易化も行います。

目録作成とデータベース管理

文書の目録を作成し、利用者が資料を検索しやすいようにデータベースを管理します。これにより、研究者や一般の利用者が必要な資料を迅速に見つけることができます。

資料の提供と支援

利用者が資料を利用する際に、適切な資料の提供やサポートを行います。研究者や学生、一般市民に対して、必要な資料の検索や利用方法を案内します。また、展示や講演を通じて、歴史的資料の価値を広める活動も行います。

デジタルアーカイブの作成

文書や記録のデジタル化を進め、デジタルアーカイブを作成します。これにより、インターネットを通じて広範な利用者がアクセスできるようになり、資料の保存と活用がさらに進みます。

資料の修復と保存措置

劣化した文書や記録を修復し、保存措置を講じます。専門的な技術を用いて資料の修復を行い、長期的な保存を実現します。

アーキビストの年収

平均年収

アーキビストの平均年収は、勤務する機関や地域、経験年数によって異なりますが、一般的には約350万円から600万円程度とされています（※参考：厚生労働省）。公共機関や大規模な図書館・博物館で働く場合、比較的高い収入を得ることができます。

初任給と年収

アーキビストの初任給は、一般的に月額約20万円から25万円程度です。新卒で採用された場合、年収に換算すると約300万円から400万円程度となります。経験を積むことで昇給し、数年後には年収500万円以上になることが一般的です。

年齢別の年収

アーキビストの年収は、経験年数や役職によって増加します。以下は、年齢別の平均年収の例です。

• 20代: 平均年収は約300万円から400万円です。初任給からのスタートとなり、現場での経験を積みながら昇給します。
• 30代: 平均年収は約400万円から500万円です。中堅のアーキビストとして、専門知識やスキルを活かして活躍します。
• 40代: 平均年収は約500万円以上です。主任やリーダーとしての役割を担い、さらに高収入を得ることができます。

アーキビストになるには

学歴と専門知識の取得

アーキビストとして働くためには、大学での学位（学士、修士）が必要です。特に歴史学、図書館学、情報学などの分野での専門知識が求められます。大学や大学院でこれらの分野を専攻し、アーカイブに関する知識を深めることが重要です。

専門職資格の取得

アーキビストとしての専門性を高めるために、関連する資格を取得することも有利です。例えば、日本アーカイブズ学会が認定する「アーキビスト資格」などがあります。

研究経験の積み重ね

アーキビストになるためには、実務経験を積むことが重要です。インターンシップやアルバイトを通じて、実際のアーカイブ作業に参加し、スキルと知識を深めます。

採用試験と選考

アーキビストとして働くためには、図書館や博物館、公共機関などの採用試験に合格する必要があります。採用試験には筆記試験、面接、実技試験などが含まれます。自分の専門知識や能力をアピールし、選考を通過することが求められます。

アーキビストに求められるスキル

専門知識と技術

アーキビストには、高い専門知識と技術が求められます。歴史的な文書や記録の整理・保存方法、デジタルアーカイブの作成技術などを身につけることが重要です。

批判的思考と分析力

アーキビストには、批判的思考と分析力が求められます。資料の内容や価値を正確に評価し、分類・整理するための論理的な思考力が必要です。

問題解決能力

アーキビストには、問題解決能力が求められます。劣化した資料の修復や保存措置、デジタル化の課題など、さまざまな問題に対して創造的な解決策を見つけ出す能力が必要です。

コミュニケーション能力

アーキビストには、高いコミュニケーション能力が求められます。利用者とのやり取りや資料の提供、展示や講演での説明など、効果的なコミュニケーションが必要です。

チームワークとリーダーシップ

アーキビストには、チームワークとリーダーシップが求められます。多くの場合、複数のアーキビストやスタッフが協力して業務を進めるため、効果的なチームワークが重要です。また、プロジェクトのリーダーとしての指導力も求められます。

アーキビストに向いている人

歴史や文化に興味がある人

アーキビストは、歴史や文化に興味がある人に向いています。過去の文書や記録を通じて歴史的な出来事や文化を学ぶことに喜びを感じる人に最適です。

忍耐強く、細かい作業が得意な人

アーキビストは、忍耐強く、細かい作業が得意な人に向いています。資料の整理や保存には細心の注意が必要であり、丁寧な作業が求められます。

論理的思考が得意な人

アーキビストは、論理的思考が得意な人に向いています。資料の分類や整理、保存方法の選定などにおいて、論理的な判断が重要です。

自主性があり、自己管理ができる人

アーキビストは、自主性があり、自己管理ができる人に向いています。自分のペースで業務を進め、計画的に業務を遂行する能力が重要です。

アーキビストの働く環境

図書館や博物館での勤務

アーキビストの主な勤務場所は、図書館や博物館です。文書や記録の整理・保存を行い、利用者に対して資料の提供やサポートを行います。

公共機関での勤務

アーキビストは、公共機関でも働

くことがあります。政府機関や地方自治体の資料室で、公文書や記録の管理を行います。

企業の資料室での勤務

アーキビストは、企業の資料室で働くこともあります。企業の歴史や業務に関する文書や記録を整理・保存し、社内の利用者に対して資料を提供します。

アーキビストのやりがい

文化遺産の保護と保存に貢献すること

アーキビストの最大のやりがいは、文化遺産の保護と保存に貢献することです。歴史的な文書や記録を適切に保存し、未来に伝えるための活動を通じて、社会に対する責任を果たすことができます。

歴史的な資料の価値を広めること

アーキビストは、歴史的な資料の価値を広めることがやりがいの一つです。展示や講演を通じて、一般市民や研究者に対して資料の重要性を伝えることができます。

自分のスキルを活かすこと

アーキビストは、自分の専門知識や技術を活かすことがやりがいの一つです。資料の整理や保存、デジタルアーカイブの作成など、スキルが業務の成功に繋がるため、大きな達成感を感じます。

利用者に対するサポート

アーキビストは、利用者に対するサポートがやりがいの一つです。研究者や学生、一般市民に対して必要な資料を提供し、彼らの研究や学習を支援することに満足感を得ます。

アーキビストの課題

多忙な勤務環境

アーキビストの仕事は、多忙な勤務環境です。資料の整理や保存、デジタル化、利用者対応など、多岐にわたる業務をこなすため、長時間の勤務が必要となることがあります。

保存環境の管理

アーキビストの仕事は、保存環境の管理が重要です。適切な保存環境を維持するためには、温度や湿度の管理、劣化対策など、細心の注意が求められます。

デジタル化の課題

アーキビストの仕事は、デジタル化の課題に直面することがあります。大量の資料をデジタル化するための技術やリソースの確保、デジタルデータの保存・管理など、さまざまな問題に対応する必要があります。

アーキビストの将来展望

デジタルアーカイブの拡大

デジタルアーカイブの拡大に伴い、アーキビストの役割も変化しています。デジタル技術の進展により、文書や記録のデジタル化が進み、利用者がオンラインでアクセスできる環境が整備されています。

国際的な協力と連携

国際的な協力と連携が進む中で、アーキビストの役割も変化しています。国際共同プロジェクトやグローバルなアーカイブネットワークを通じて、資料の保存や活用が促進されています。

新しい保存技術の導入

新しい保存技術の導入により、アーキビストの業務が効率化されています。最新の保存技術や修復技術を活用することで、資料の長期保存が可能になります。

まとめ

アーキビストは、歴史的な文書や記録を収集、整理、保存し、利用者がアクセスしやすい形で提供する専門職です。文書の収集と整理、保存と管理、目録作成とデータベース管理、資料の提供と支援、デジタルアーカイブの作成、資料の修復と保存措置など、多岐にわたる業務を担当します。年収は約350万円から600万円程度であり、初任給や年齢別の年収も詳細に紹介しました。将来の展望として、デジタルアーカイブの拡大や国際的な協力と連携、新しい保存技術の導入が期待されています。

アーキビストを目指す方には、専門知識と技術、批判的思考と分析力、問題解決能力、コミュニケーション能力、チームワークとリーダーシップなどのスキルが求められます。学歴と専門知識の取得、専門職資格の取得、研究経験の積み重ね、採用試験と選考を通じて、アーキビストとしてのキャリアを築くことが重要です。アーキビストの仕事は大変な部分も多いですが、文化遺産の保護と保存に貢献することや歴史的な資料の価値を広めること、自分のスキルを活かすこと、利用者に対するサポートなど、大きなやりがいがあります。興味のある方は、ぜひアーキビストへの道を検討してみてください。

参考元

• 厚生労働省
• 日本アーカイブズ学会
• 文化庁