義肢装具士とは、仕事内容、年収、やりがいなどを解説

義肢装具士は、失った手足の代わりとなる義肢や、体の一部を支える装具を製作・調整する専門職です。義肢装具士は、患者の生活の質を向上させ、自立した生活をサポートするために重要な役割を果たします。

義肢装具士の仕事内容

患者の評価とカウンセリング

義肢装具士の主な仕事の一つは、患者の身体状態を評価し、適切な義肢や装具を設計することです。患者とのカウンセリングを通じて、具体的なニーズや希望を聞き取り、最適な製品を提供するための計画を立てます。

義肢や装具の設計と製作

義肢装具士は、患者の身体計測を基に義肢や装具を設計・製作します。これには、3Dスキャンや手作業による型取り、材料の選定、加工などが含まれます。義肢や装具は、患者の体にぴったり合うようにカスタマイズされます。

フィッティングと調整

義肢や装具が完成したら、患者に装着し、適切にフィッティングを行います。義肢装具士は、患者の動きや装着感を確認しながら、必要な調整を行います。これにより、最適な使用感と機能を実現します。

訓練とサポート

義肢装具士は、患者が義肢や装具を正しく使用できるように訓練を行います。歩行や日常動作の訓練を通じて、患者が自立した生活を送るためのサポートを提供します。また、定期的なフォローアップを行い、必要に応じて修理や調整を行います。

チームとの連携

義肢装具士は、医師、理学療法士、作業療法士などの医療チームと連携して患者を支援します。チームの一員として、患者のリハビリテーション計画に基づいた義肢や装具の提供を行い、総合的なケアを実現します。

義肢装具士の年収

平均年収

義肢装具士の平均年収は約400万円から600万円程度とされています（※参考：厚生労働省）。地域や経験年数、勤務先の規模によって異なりますが、専門職として安定した収入が得られます。

初任給と年収

義肢装具士の初任給は、一般的に月額約20万円から30万円程度です。新卒で採用された場合、年収に換算すると約240万円から360万円程度となります。経験を積むことで昇給し、数年後には年収500万円以上になることが一般的です。

年齢別の年収

義肢装具士の年収は、経験年数や役職によって増加します。以下は、年齢別の平均年収の例です。

• 20代: 平均年収は約300万円から400万円です。初任給からのスタートとなり、現場での経験を積みながら昇給します。
• 30代: 平均年収は約400万円から500万円です。中堅の義肢装具士として、リーダーシップを発揮し、後輩の指導も行います。
• 40代: 平均年収は約500万円以上です。ベテランの義肢装具士として、多くの業務を担当し、高度な専門知識を駆使して活躍します。

義肢装具士になるには

資格取得

義肢装具士として働くためには、義肢装具士の国家資格を取得する必要があります。この資格は、指定の養成校で所定のカリキュラムを修了し、国家試験に合格することで取得できます。養成校では、解剖学、生理学、病理学、材料学、義肢装具の設計・製作技術など、幅広い知識と技術を学びます。

実務経験

資格を取得した後、実務経験を積むことが重要です。病院、義肢装具メーカー、リハビリテーション施設などで義肢装具士としての実務経験を積み、現場でのスキルを磨きます。

就職活動と職場選び

義肢装具士の職場選びは、病院、義肢装具メーカー、リハビリテーション施設、地域包括支援センターなど多岐にわたります。自分のキャリアプランや働きたい環境に応じて、職場を選びます。求人情報を収集し、応募書類を準備して就職活動を行います。

継続的な学習とスキルアップ

義肢装具士として働き始めた後も、継続的な学習とスキルアップが求められます。新しい技術や材料に対応するために、定期的な研修やセミナーに参加し、最新の知識を習得します。また、業務を通じて実践的なスキルを磨くことも重要です。

義肢装具士に求められるスキル

コミュニケーション能力

義肢装具士には、高いコミュニケーション能力が求められます。患者やその家族、医療チームとの円滑なコミュニケーションを図り、患者のニーズを正確に把握し、適切な義肢や装具を提供することが重要です。

アセスメント能力

義肢装具士は、患者の身体状態を正確に評価するアセスメント能力が必要です。患者の症状や健康状態を総合的に評価し、適切な義肢や装具を設計するためのスキルが求められます。

技術知識と製作スキル

義肢装具士には、義肢や装具の設計・製作に関する高度な技術知識と製作スキルが求められます。最新の技術や材料についての知識を習得し、実践に応用する能力が必要です。

問題解決能力

義肢装具士は、患者の問題やニーズに対して迅速に対応し、適切な解決策を提案する能力が求められます。患者やその家族の悩みや困りごとに対して、的確なアドバイスや支援を提供することが重要です。

義肢装具士に向いている人

人と接することが好きな人

義肢装具士は、患者やその家族、医療チームとのコミュニケーションが中心の仕事であるため、人と接することが好きな人に向いています。患者との信頼関係を築くことが重要です。

高い責任感を持つ人

義肢装具士は、患者の生活の質に直接関わる重要な役割を担っています。高い責任感を持ち、常に正確かつ丁寧に業務を遂行する姿勢が求められます。

専門知識を深める意欲がある人

義肢や装具の分野は日々進化しています。義肢装具士には、継続的に学び続ける意欲があり、自己研鑽を怠らない姿勢が求められます。

問題解決に興味がある人

義肢装具士は、患者の機能回復や生活の質向上に関する問題解決をサポートする仕事です。問題解決に興味があり、論理的に考えることが得意な人に向いています。

義肢装具士の働く環境

病院での勤務

義肢装具士の主な勤務場所は病院です。ここで患者の評価や義肢・装具の設計・製作、フィッティング、訓練

を行い、医療チームと連携して患者を支援します。

義肢装具メーカーでの勤務

義肢装具士は、義肢装具メーカーでも勤務することがあります。ここで製品の設計・製作を担当し、技術の開発や製品の改良に関わります。

リハビリテーション施設での勤務

義肢装具士は、リハビリテーション施設でも勤務することがあります。ここで患者の機能回復をサポートし、適切な義肢や装具の提供を行います。

自営業としての活動

義肢装具士は、自営業としてフリーランスで活動することもできます。契約ベースで様々な現場に出向き、義肢や装具の提供を行います。自由な働き方ができる一方で、仕事の確保や自己管理が求められます。

義肢装具士のやりがい

患者の機能回復を支える達成感

義肢装具士の最大のやりがいは、患者の機能回復を支えることができた時の達成感です。適切な義肢や装具を提供し、患者が自立した生活を送れるようになることが大きな満足感となります。

専門技術の向上

義肢装具士としてのスキルを向上させることで、自身の成長を感じることができます。新しい技術や材料を習得し、より高度な業務を担当できるようになることがやりがいの一つです。

社会貢献の実感

義肢装具士は、日々の業務を通じて社会に貢献することができます。患者の生活の質を向上させることで、地域社会全体の福祉に貢献しているという実感がやりがいとなります。

義肢装具士の課題

精神的なストレス

義肢装具士は、患者の生活の質や健康に関わる仕事であるため、精神的なストレスがかかることがあります。感情的な負担を軽減するためのメンタルヘルスケアが重要です。

継続的な学習の必要性

義肢や装具の分野は日々進化しているため、継続的な学習が必要です。新しい技術や材料に対応するために、常に最新の情報を学び続ける姿勢が求められます。

義肢装具士の将来展望

高齢化社会における需要増加

日本の高齢化社会が進む中で、義肢装具士の需要は増加しています。高齢者のリハビリテーションや機能回復の需要が高まり、義肢装具士の役割はますます重要になるでしょう。

専門性の向上

義肢装具士の専門性が高まることで、キャリアアップの機会が増えています。資格取得や研修を通じて専門知識を深めることで、高度な業務を担当し、リーダーシップを発揮することができるようになります。

まとめ

義肢装具士は、失った手足の代わりとなる義肢や、体の一部を支える装具を製作・調整する専門職です。患者の評価とカウンセリング、義肢や装具の設計と製作、フィッティングと調整、訓練とサポート、チームとの連携など、多岐にわたる業務を遂行します。年収は約400万円から600万円程度であり、初任給や年齢別の年収も詳細に紹介しました。将来の展望として、高齢化社会における需要増加や専門性の向上が期待されています。

義肢装具士を目指す方には、資格取得、実務経験、就職活動と職場選び、継続的な学習とスキルアップなどが役立ちます。義肢装具士の仕事は大変な部分も多いですが、患者の機能回復を支える達成感や専門技術の向上など、大きなやりがいがあります。興味のある方は、ぜひ義肢装具士への道を検討してみてください。

参考元

• 厚生労働省
• 日本義肢装具士協会