図書館司書について、仕事内容、年収、やりがいなどを解説

最終更新日:2024年6月7日

図書館司書は、図書館において資料の収集、整理、貸し出し、情報提供などを行う専門職です。利用者に対して適切な情報や資料を提供し、図書館の運営を支える重要な役割を担っています。本記事では、図書館司書の仕事内容、年収、必要なスキル、やりがい、そして将来の展望について詳しく解説します。

図書館司書の仕事内容

資料の収集と整理

図書館司書の主な仕事の一つは、資料の収集と整理です。新しい本や雑誌、デジタル資料を選定し、購入や寄贈を受け付けます。また、これらの資料を分類し、カタログに登録して利用者が検索しやすいように整理します。

貸し出しと返却

図書や資料の貸し出しと返却も重要な業務です。利用者の貸し出し手続きを行い、返却された資料を点検し、再度貸し出し可能な状態に戻します。

利用者サービス

利用者からの問い合わせに対応し、必要な情報や資料を提供します。利用者のリクエストに応じた資料の取り寄せや、特定のテーマに関する情報提供も行います。

図書館プログラムの企画と実施

図書館で開催されるイベントやプログラムの企画と実施も図書館司書の役割です。読書会やワークショップ、子供向けの読み聞かせなど、多様なプログラムを通じて地域の文化活動を支えます。

電子情報資源の管理

デジタル化が進む中で、電子書籍やオンラインデータベースの管理も重要な業務です。電子情報資源の選定、導入、利用者への提供方法の整備を行います。

図書館システムの管理

図書館の運営に必要なシステムやソフトウェアの管理も図書館司書の仕事です。図書館情報システムの維持管理や、利用者向けのオンラインサービスの提供を担当します。

図書館司書の年収

初任給と年収

図書館司書の初任給は、公共図書館や大学図書館、企業図書館など、勤務先や地域によって異なりますが、一般的には月給18万円から25万円程度です。年収に換算すると約250万円から400万円程度となります。経験を積むことで、さらに高い年収を得ることが可能です。

年齢別の年収

図書館司書の年収は、経験年数や役職に応じて上昇します。以下に年齢別の平均年収を示します。

  • 20代: 平均年収は約250万円から350万円です。基本的な業務を習得しながら、年収が上がっていきます。
  • 30代: 平均年収は約350万円から450万円です。経験を積み、シニア司書や管理職の役割を担うことがあります。
  • 40代: 平均年収は約450万円から600万円です。図書館のマネージャーや部門責任者として、大規模な図書館の運営に携わることがあります。

その他の待遇

図書館司書の待遇には、以下のようなものがあります。

  • 福利厚生: 社会保険完備、交通費支給、年次有給休暇、退職金制度などが整備されています。
  • インセンティブ: 資格取得や業績に応じたインセンティブやボーナスが支給される場合があります。
  • 研修制度: 図書館業務に関する知識を向上させるための研修制度や資格取得支援が提供されることがあります。

図書館司書に必要な資格

司書資格

図書館司書として働くためには、司書資格が必要です。大学や専門学校で図書館学を専攻し、所定の単位を取得することで資格を取得できます。また、司書補資格もあり、こちらはより短期間で取得可能です。

専門知識と実務経験

図書館業務に必要な専門知識としては、図書館情報学、資料の分類と整理、情報検索技術などがあります。専門学校や大学での学位が有利ですが、現場での実務経験も重要です。

図書館司書に求められるスキル

コミュニケーションスキル

図書館司書には、利用者との円滑なコミュニケーションが求められます。利用者のニーズを正確に把握し、適切な情報を提供する能力が重要です。

情報検索技術

利用者が求める資料や情報を迅速に検索し、提供する技術が必要です。電子データベースや図書館システムを活用した情報検索スキルが求められます。

組織管理能力

図書館の資料やシステムを効率的に管理する能力が求められます。資料の分類やカタログ化、貸し出しシステムの運営など、組織的な管理スキルが重要です。

問題解決能力

利用者からの問い合わせやトラブルに迅速かつ適切に対応する能力が必要です。問題の原因を特定し、適切な対策を講じるスキルは、利用者満足度の向上に寄与します。

デジタルリテラシー

電子情報資源の管理やオンラインサービスの提供において、デジタルリテラシーが求められます。ITスキルやデジタルコンテンツの活用能力が重要です。

図書館司書の働く環境

公共図書館

公共図書館で働く司書は、地域住民に対して幅広いサービスを提供します。資料の貸し出しや情報提供、地域イベントの企画運営など、多岐にわたる業務を担当します。

大学図書館

大学図書館で働く司書は、学生や教職員に対して専門的な資料や情報を提供します。学術論文や研究資料の管理、学術イベントの企画運営など、学術的なサポートが求められます。

学校図書館

学校図書館で働く司書は、児童や生徒に対して教育的な資料や情報を提供します。読書教育や図書館活動の支援、学校イベントの企画運営など、教育的なサポートが求められます。

企業図書館

企業図書館で働く司書は、企業内の従業員に対して業務に関連する資料や情報を提供します。ビジネスリサーチや市場調査、社内研修のサポートなど、企業活動を支える役割を担います。

図書館司書のやりがい

知識の提供

図書館司書は、利用者に対して適切な情報や資料を提供することで、知識の普及に貢献します。利用者の学びや研究をサポートすることに大きなやりがいを感じます。

利用者の満足

利用者が求める資料や情報を提供し、感謝の言葉をもらうことは大きな達成感をもたらします。利用者との信頼関係を築くことができます。

専門技術の習得

図書館司書は、資料の分類や情報検索などの専門技術を習得し、自分のスキルを高めることができます。常に新しい知識や技術を学び続けることで、自己成長を実感できます。

図書館司書の課題

労働時間

図書館司書の仕事は、繁忙期やイベントが多い時期には長時間の勤務が求められることがあります。特に、大規模な図書館や大学図書館では、多忙な労働時間が課題となることがあります。

体力的負担

資料の整理や移動など、体力的な負担がかか

る作業も多いです。特に、大量の書籍を扱う場合には、体力を維持するための努力が必要です。

図書館司書の将来展望

デジタル化の進展

図書館のデジタル化が進む中で、電子情報資源の管理やオンラインサービスの提供がますます重要になります。デジタル技術の進展に対応できる司書の需要が高まると予想されます。

知識社会の発展

知識社会の発展に伴い、図書館の役割はますます重要になります。情報の収集、整理、提供を通じて、地域社会や学術コミュニティに貢献する機会が増えると期待されています。

高度な専門技術の需要

今後も、図書館司書において高度な情報管理技術と専門知識を持つ人材の需要は高まると予想されます。特に、デジタル情報資源の管理や専門的な情報提供が求められる場面が増えるでしょう。

図書館司書を目指す方へ

図書館司書は、情報管理技術と実務能力を活かして働くことができる魅力的な職業です。利用者に対して適切な情報や資料を提供し、知識の普及に貢献する意欲がある方には適しています。未経験者でも、研修や図書館学の学びを通じてスキルを身につけることができます。

興味のある方は、図書館での見学やインターンシップに参加して、実際の職場環境を体験してみると良いでしょう。図書館司書でのキャリアをスタートさせるために、ぜひ一歩踏み出してみてください。

まとめ

図書館司書は、図書館において資料の収集、整理、貸し出し、情報提供などを行う専門職です。公共図書館、大学図書館、学校図書館、企業図書館などで働きます。年収は経験や役職に応じて上昇し、安定した待遇が提供されます。将来の展望として、デジタル化の進展や知識社会の発展が期待されています。

図書館司書を目指す方には、高度なコミュニケーションスキル、情報検索技術、組織管理能力、問題解決能力、デジタルリテラシーが求められます。利用者に対して適切な情報や資料を提供し、知識の普及に貢献する意欲がある方には非常にやりがいのある職業です。興味のある方は、ぜひ図書館司書への道を検討してみてください。

参考

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」日本図書館協会