ビジネスメールや社内文書でよく使われる「ご提出をお願い致します」という表現。日常的に目にする表現である一方、「丁寧さは足りているのか」「もっと適切な言い回しはないか」と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、「ご提出をお願い致します」の正しい意味や使い方、文脈ごとの例文、注意点、類語や英語での表現までを丁寧に解説します。ビジネスパーソンとして失礼のない文章を書きたい方、文書作成に自信がない方にとって役立つ情報を網羅しています。
目次
「ご提出をお願い致します」は以下のような構造で成り立っています:
つまり、直訳すると「提出していただけますようお願いします」という意味になり、相手に資料や書類などの提出を依頼する際の敬語表現です。
など、幅広い場面で使える非常に汎用性の高いフレーズです。
お疲れ様です。
先日ご案内したプロジェクト報告書につきまして、〇月〇日(金)までにご提出をお願い致します。
何卒よろしくお願い申し上げます。
株式会社〇〇
〇〇様
いつも大変お世話になっております。株式会社△△の□□です。
下記書類につきまして、〇月〇日までにご提出をお願い致します。
お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
先日ご依頼いたしました契約書の件ですが、提出締切が近づいておりますので、改めてご提出をお願い致します。
必要書類を添付しておりますので、ご確認のうえ、ご提出をお願い致します。
表現をさらに丁寧に、または文脈に応じて言い換える方法を紹介します。
表現 | ニュアンス | 適した場面 |
---|---|---|
ご提出のほどお願い申し上げます | 非常に丁寧・格式高い | 式典案内、重要な書類 |
ご提出いただけますと幸いです | 柔らかく丁寧 | 社外メール、顧客対応 |
ご提出願います | ビジネス的で簡潔 | 社内通知、規定通達 |
ご提出ください | ややカジュアル | チャット、親しい関係性 |
提出をお願いいたします | 「ご」を使わないが丁寧 | 略式ビジネス文書など |
ビジネス文書における表記の揺れも気になるところです。
文化庁の『敬語の指針』や多くの企業文書では、「致す」「頂く」などの補助動詞はひらがなで書くのが正式とされています。
✅ 正:ご提出をお願いいたします
❌ 誤:ご提出をお願い致します(間違いではないが古風)
社内外問わずフォーマルな場面では、「お願いいたします」とひらがな表記にしておく方が無難です。
提出依頼の場面では、「ご提出をお願い致します」以外にも、様々な言い回しが存在します。それぞれの使い分けを以下にまとめました。
表現 | 意味・用途 | 注意点 |
---|---|---|
提出必須です | 強い命令口調 | 指導や通達には有効だが、丁寧さに欠ける |
ご提出のご協力をお願いします | 協力を仰ぐ柔らかい言い回し | 営業・説明会などで使いやすい |
ご対応のほど、よろしくお願いいたします | 提出に限らず幅広く使える | 対応依頼全般に有効 |
ご確認のうえご提出ください | 指示が明確 | 実務的な案内文に適す |
グローバルビジネスでも、書類やデータの提出を依頼する機会は多いです。英語では以下のように表現されます。
日本語 | 英語表現 | 備考 |
---|---|---|
ご提出をお願い致します | We kindly ask you to submit the documents. | 丁寧な表現 |
ご提出いただけますと幸いです | It would be appreciated if you could submit it. | フォーマル |
ご提出ください | Please submit the document. | 簡潔・命令形 |
文調を整えることで、英語でも丁寧な依頼が可能です。
文章中に「お願い致します」が多すぎると、くどくなりがちです。
❌ 「〇〇をご確認のうえ、書類をご提出をお願い致します。引き続きよろしくお願い致します。」
✅ 「〇〇をご確認のうえ、書類をご提出ください。よろしくお願いいたします。」
繰り返しが気になる場合は、語尾のバリエーションを工夫しましょう。
提出依頼には明確な締切日を記載することが重要です。
例:「〇月〇日(金)17:00までにご提出をお願いいたします。」
日付だけでなく、時間まで指定することで誤解を防げます。
Q1:「ご提出をお願い致します」は失礼ですか?
→ いいえ。非常に一般的かつ丁寧な表現です。ただし表記は「お願いいたします」にするとより適切です。
Q2:「ご提出ください」との違いは?
→ 「ください」はややカジュアル。「お願い致します」はフォーマルな印象になります。
Q3:「お願い致します」と「お願いいたします」はどちらが正しい?
→ どちらも間違いではありませんが、現代のビジネス文書では「お願いいたします」が主流です。
「ご提出をお願い致します」は、丁寧で汎用性の高い依頼表現として、あらゆるビジネスシーンで使用できます。以下のポイントを押さえておけば、より効果的なビジネスメールや案内文が書けるようになります。
適切な敬語を使うことで、信頼感と丁寧さを保ったコミュニケーションが可能になります。ぜひ、場面に応じて上手に「ご提出をお願い致します」を活用してください。