「お気をつけて行ってらしてください」とは、相手が外出したり移動したりする際に、相手の身を案じつつ、丁寧に送り出すためのあいさつ表現です。「行ってらっしゃい」は日常生活でもよく使われますが、それをさらに丁寧な形に言い換えたのが「お気をつけて行ってらしてください」といえます。
主に上司・取引先・目上の人に対して使われる敬語表現であり、ビジネスシーンやフォーマルな場で相手を見送るときによく用いられます。
また、「お気をつけて行ってらしてください」はシチュエーションによって以下のよう使われます
いずれも意味は「安全に、無事に行ってきてください」というニュアンスを含んでおり、前後に「お出かけですか?」「行ってまいります」などの挨拶があったうえでのやりとりが多いです。
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オフィスで上司や先輩、または取引先へ外出する同僚を見送るときに「お気をつけて行ってらしてください」と声をかけることで、相手に対する気配りや敬意を示しやすい表現になります。
ただし、社内のフランクな雰囲気や相手との距離感によっては、やや固すぎる印象になることもあります。その場合は「お気をつけて行ってらっしゃいませ」や「行ってらっしゃいませ」など、少し砕いた敬語にしてもよいでしょう。
来客や取引先の担当者が帰る際、「本日はありがとうございました。お気をつけて行ってらしてください」と伝えるケースが考えられます。特に相手が車や電車で長距離を移動する場合、安全を願う気持ちをきちんと伝えることで好印象を与えやすいです。
ただし、取引先や顧客が自社のオフィスに訪問してくれた後は、まずは感謝を伝えるのが最優先です。その上で、見送りの言葉として「お気をつけて行ってらしてください」を付け加えると、より丁寧でスムーズなコミュニケーションが成立します。
「お気をつけて行ってらっしゃいませ」は、「お気をつけて行ってらしてください」と同じく丁寧な見送り表現です。ただし、「行ってらっしゃいませ」の方がやや広く使われることが多く、「行ってらっしゃい」が少し丁寧になった印象を与えやすいといえます。
一方、「行ってらしてください」は文法的にややかしこまったニュアンスを帯びるため、より敬意を強く込めたい場合にはこちらが適しています。
「行ってらっしゃい」の部分を切り取ってしまい、「どうぞお気をつけて」という短い形で挨拶を済ませるパターンもあります。言いやすく覚えやすい反面、「行ってらっしゃい」を明確に含んだ表現ではないため、どこへ向かうかを具体的に想定したやりとりというよりは、漠然と別れのあいさつをする印象が強まります。
「道中」と言葉を明示することで、移動時の安全にフォーカスした表現になります。こちらはビジネスメールや手紙でもよく使われる表現で、相手の旅路や移動の安全を願う意味合いがはっきり伝わります。
ビジネスメールの結びとして、「お気をつけて行ってらしてください」を使うケースはそこまで多くありません。しかし、出張の予定や遠方への訪問を控えている相手に対しては、最後の挨拶文として一言添えると心配りのある印象を与えられます。例えば、
○○様 ご多忙のところ恐れ入りますが、ご出張先でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。 まだまだ寒い日が続きますので、どうぞご自愛くださいませ。 お気をつけて行ってらしてください。 今後とも何卒よろしくお願いいたします。
このように結びの一文として使うことで、受け取った相手にも「移動を気遣ってくれている」という安心感を持ってもらえるでしょう。
はがきや書面で相手を送り出すシーンは少ないですが、何かのイベント招待や出張準備の書類送付時などに添える場合、「ご出発までの準備でお忙しいことと存じます」「くれぐれもお身体にお気をつけください」という文面とあわせて、「お気をつけて行ってらしてください」を使ってみると良いでしょう。心遣いを表す丁寧な一文になります。
あまりにもフランクな間柄(プライベートな友人や仲の良い同僚同士など)で使うと、かえってよそよそしい印象になることがあります。相手と自分のビジネス上での立場や関係性を考えたうえで、「お気をつけて行ってらしてください」が適切か判断しましょう。
シンプルに「行ってらっしゃい」という言葉を使う場面と、「お気をつけて行ってらしてください」を使う場面の違いは、敬意の強さや礼儀正しさです。ビジネスシーンで目上の相手に対しては、より丁寧な言葉を選ぶことで、組織人としてのマナーを示す意味合いもあります。
ビジネスでは敬語を正しく使うことが重要ですが、あまりにも改まった表現を使いすぎると、かえって堅苦しく不自然な文章になりがちです。とくに社内向けの挨拶やメールでは、相手の好みに合わせて調整し、「お気をつけて行ってらっしゃいませ」程度の表現にするなど、適度なバランスを取りましょう。
社内の上司を見送るとき
「○○部長、行ってらっしゃるんですね。お気をつけて行ってらしてください。何かあればいつでもご連絡ください。」
「寒いのでお気をつけて行ってらしてください。いってらっしゃいませ。」
取引先を見送るとき
「本日はありがとうございました。お気をつけて行ってらしてください。またご連絡をお待ちしております。」
「遠方からのご足労、誠にありがとうございます。お気をつけて行ってらしてください。」
ビジネスメールの結びとして
「この度は迅速なご対応ありがとうございました。ご出張、お気をつけて行ってらしてください。落ち着きましたら改めてご連絡いたします。」
落ち着きましたら改めてご連絡いたします。」 「季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ですので、どうぞご無理なさいませんよう。お気をつけて行ってらしてください。」
丁寧な印象を与える
「行ってらっしゃい」というフレンドリーな表現よりも敬意を込めているため、目上や取引先などと円滑な関係を築きやすくなります。
相手を気遣う姿勢を示せる
「お気をつけて」という言葉を添えることで、移動や外出先での安全を願う気持ちが伝わり、好印象を与えられます。
社内外問わず汎用性が高い
社内の上司への挨拶から取引先への見送りまで、幅広いビジネスシーンで使える便利な表現です。
「お気をつけて行ってらしてください」という表現は、ビジネスシーンで相手を丁寧に送り出す際の定番フレーズです。一般的に日常会話で用いられる「行ってらっしゃい」よりも一段階上の敬意を示し、上司や取引先など、フォーマルな相手に適した印象を与えます。状況や相手との関係に応じて、「お気をつけて行ってらっしゃいませ」や「どうぞお気をつけて」といったバリエーションも使いやすく、カジュアルな表現との差別化を図ることで、失礼を避けることができます。さらに、メールや書面で、遠方へ出発される相手に対して用いることで、自然な配慮が伝わり、ビジネスマナーとしての礼儀正しさを示す効果も期待できます。小さな気遣いが大きな信頼につながることを、ぜひ実感してみてください。