「分かりにくくて申し訳ありません」は、相手に説明などを行った際、「自分の説明不足や表現の仕方が原因で、相手が理解しづらい状況を招いてしまい申し訳ない」という気持ちを伝える表現です。特にビジネスシーンでは、資料の説明が不十分だったり、複雑な業務内容を分かりやすくまとめられなかったりするときによく使います。
「分かりにくくて申し訳ありません」と伝えることで、まず自分に非がある・説明不足であることを認め、相手に対してお詫びの気持ちを示すことができます。特に社内外を問わず、ビジネスの場では「自分の落ち度を認める→修正・改善策を提示する」という流れが重要です。お詫びの言葉だけでなく「次回はこうします」「具体的に分かりやすい例を示します」といった具体策を添えると、相手からの信頼も得やすくなります。
目次
比較的よく使われる敬語表現。話し手と相手との距離感が極端に離れていない場合でも、きちんと丁寧な印象を残します。
より改まった言い方。取引先や上司など、特に目上の方に対して謝罪するときは「申し訳ございません」のほうがフォーマルで無難です。
ビジネス文書や商談などの場面では、相手との上下関係や距離感を考慮して使い分ける必要があります。ただし、近年では「申し訳ありません」でも十分丁寧とされるシーンが多いので、そこまで神経質になる必要はありません。それでも外部のお客様や初対面の相手への謝罪は「申し訳ございません」を使うほうが無難でしょう。
「分かりにくくなってしまい、大変申し訳ございません」 「わかりづらい表現となっており、申し訳ございません」 「説明が不十分で申し訳ございません」
上記はビジネス文書やメール、電話でのやり取りでも使える敬語例です。また、「大変」「誠に」「深く」などの副詞を添えるとより丁寧で、深いお詫びの気持ちを表せます。
「相手にとって理解が難しい」というニュアンスを出したいからといって、**「理解していただけず、申し訳ありません」**という形は避けましょう。これは相手が理解できていないことを強調してしまい、相手に責任を転嫁していると受け取られる恐れもあります。「分かりにくい説明をしてしまい…」というように、自分側の至らなさを表現することが重要です。
ビジネスシーンでは、同じ表現ばかりを多用すると、単調な印象を与えたり、バリエーションの少なさから文面が堅苦しくなったりします。そこで、「分かりにくくて申し訳ありません」を言い換えられる表現をいくつか紹介します。
「複雑」という語を入れることで、内容自体が難解かもしれないニュアンスを伝えつつ、謝罪の気持ちを強調できます。
「拙い(つたない)」という単語は、自分の能力不足を認めるニュアンスが強いので、深い反省の意を伝えたいときに有効です。
「大変申し訳ございません」の後に「改めて整理してお伝えします」と今後の対策を示すと、誠意ある印象を残せます。
「混乱を招く」という言葉を用いることで、相手に迷惑をかけたことを明確に示すことができます。
謝罪だけで終わらせず、「相手に何をしてあげられるか」「どうリカバリーするか」を伝えるのがポイントです。追加資料を送付する、もう一度丁寧に口頭で説明するなど、次のアクションを示すと好印象を与えられます。
件名:○○プロジェクト進捗報告の件
〇〇株式会社 △△部
△△様
いつもお世話になっております。□□株式会社の山田です。
先ほどお送りした進捗報告書ですが、一部表記がわかりづらくなっており、
ご指摘いただきありがとうございました。
分かりにくくて申し訳ございません。修正版を添付いたしましたので、
お手数をおかけいたしますが、ご確認をお願いいたします。
もしご不明点などございましたら、遠慮なくお知らせください。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
――――――――――――――――――――――――――――
□□株式会社 △△部 山田太郎
TEL: 03-XXXX-XXXX / Email: xxxxx@xxxx.xx
――――――――――――――――――――――――――――
この例では、相手が「わかりづらい」と感じた箇所を指摘してくれたシーンを想定しています。ポイントは、相手が指摘してくれたことに感謝し、謝罪の言葉を入れるという流れです。
山田: 先ほどお送りした仕様書の件で質問がありましたが、
分かりにくくて申し訳ありません。
追って、要点をまとめたメモをお渡ししますね。
チャットの場合、メールよりも口語的な文体になりやすいですが、「申し訳ありません」など丁寧な言い回しを崩さないことがビジネスの場では重要です。社内チャットでも、相手が上司や他部署の先輩社員であれば丁寧さは保ちましょう。
「分かりにくくて申し訳ありません」を口頭で伝える場合、メールやチャットにはない声のトーンや表情が相手に伝わります。特に電話や対面での謝罪表現は、声の調子や話し方が相手の印象を左右します。
「大変失礼いたしました」や「恐縮ですが」という表現も適宜交え、「本当に申し訳ない」という気持ちを示すことが大切です。また、電話の場合は相手の反応が視覚的に得られない分、声の表情を意識して真摯な態度を伝えましょう。
繰り返しになりますが、「相手がわからない」という表現にフォーカスすると、責任転嫁のように受け取られかねません。「こちらの説明が至らず、分かりにくくて申し訳ありません」のように、**「自分の説明不足」**を強調することが大切です。
分かりにくい文章や説明は、相手に余計な推測や不明点の確認をさせることになります。そのため、「お手数をおかけし、申し訳ございませんでした」という一言を添えると、相手の立場への理解を示し、誠意が伝わりやすくなります。
謝罪で終わらず、**「今後はどのように改善するのか」「どのようにより分かりやすくするのか」**を明示すると、相手にとっては「次は分かりやすくなるだろう」と期待が持てます。また、相手の意見や要望を積極的に取り入れる姿勢を見せることが、今後の信頼関係につながります。
先述のように、これは「相手が理解しなかった」という趣旨になり、自分の非を認めた表現になりません。ビジネスの場では避けるようにしましょう。
一見すると問題ないように思えますが、謝罪の言葉が抜けている点に注意が必要です。「分かりにくいところがあれば、お知らせください」だけでは、相手に「どこが分かりにくいのか指摘してほしい」と求める形になり、申し訳なさや反省の気持ちが伝わりません。お詫びを先に述べたうえで、このフレーズを使うのは問題ありませんが、謝罪抜きでこれを言うのは避けましょう。
こちらも、謝罪としては不十分です。「すみませんが」は軽めの謝罪ではあるものの、相手に依頼しているニュアンスが強く、真摯さに欠ける印象を与えかねません。あくまで主体は自分であり、相手をサポートする立場にある、という意識が大切です。
状況を簡潔に示す
謝罪やお詫びを伝える際には、なぜそのような事態になったのかを簡潔に伝えましょう。ダラダラとした弁解は逆効果です。
最初に謝罪の意思を示す
メールや口頭のコミュニケーションにおいて、まずは「申し訳ございませんでした」「失礼いたしました」などで始めると、相手が真剣に話を聞いてくれやすくなります。
再発防止策や改善策を述べる
謝罪だけでなく「今後は二重チェックを行い、分かりにくい箇所を減らすよう努めます」など具体的な対策を提示することで、誠実さをアピールできます。
相手が納得しない場合はどう対処するかを考える
一度の謝罪で許されるとは限りません。相手の不満や疑問が解消されるまで誠意をもって対応する姿勢が大切です。
上司やチームと相談する
大きなミスやクレームにつながる場合、個人で判断せず上司や先輩と相談しましょう。正しい対処法を学べるだけでなく、会社として一貫した対応ができるようになります。
「分かりにくくて申し訳ありません」は資料や説明自体の内容が複雑、または話し方がわかりにくいことを認めて謝罪する表現。「説明不足で申し訳ありません」は単純に情報量が足りなかった、誤解を生むような省略が多かった場合に使う表現。
両者は似ているようで、「分かりにくさ」と「説明不足」で焦点が異なります。ただし、両方当てはまる場合は「分かりにくく、さらに説明も不足しており申し訳ありません」という言い方も可能です。
冒頭からお詫びを述べること自体は失礼ではありませんが、状況によっては相手が「何について謝っているのか分からない」と戸惑う可能性があります。件名や冒頭の一文で、どの点が問題だったのかを簡潔に明示した上で謝罪するとよいでしょう。
「わかりにくい表現でご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」
「弊社の説明が不十分で、ご不便をおかけしてしまい、申し訳ございません」
「ご迷惑」「ご不便」という言葉を使うと、相手が受けた不利益や困難を重くとらえていることが伝わります。クレーム対応など、より深い謝罪が必要なときはこういった表現を使うのもよいでしょう。
「分かりにくくて申し訳ありません」という謝罪は、ビジネスで重要な表現です。自分の落ち度を認め、相手の迷惑を考慮し改善策を提示することで信頼関係を築けます。正しい敬語や類似表現を用い、言い換えで誠意を伝えます。メールでは謝罪と修正案を併記し、対面や電話では声や表情で丁寧さを示し、円滑なコミュニケーションと高評価へとつなげます。謝罪表現は、誤解を防ぎ取引の信頼性を高めるための重要な手段であり、丁寧な言葉選びと態度で相手に安心感を与え、今後の業務発展にも寄与します。適切な謝罪が、円滑な連携と長期的な信頼を生み出します。