「引き続き何卒よろしくお願いいたします」は、ビジネスシーンで頻繁に使われるフレーズのひとつです。特にメールや文書でのやり取りにおいて、クライアントや取引先、上司・同僚など、あらゆる立場の人とコミュニケーションを取る際に大変便利で柔らかな印象を与える表現として知られています。本記事では、「引き続き何卒よろしくお願いいたします」の意味や使い方、そしてビジネスメールでの例文、さらには敬語・ビジネスマナーの観点からの注意点などを詳しく解説していきます。今後のビジネスコミュニケーションに役立つポイントをまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
「引き続き」とは「これまで同様に」「継続して」という意味を持つ表現です。今まで続いてきた関係性や行動を、今後も続けてもらいたい、または変わらずにお願いしたいという意思を示します。
「何卒よろしくお願いいたします」は「どうかよろしくお願いします」をさらに丁寧にした表現です。「何卒」は「どうか」「ぜひ」「くれぐれも」といった意味を持ち、相手に対して強い願いや依頼の気持ちを表す言葉です。そのため、非常に丁寧かつ謙虚な印象を与えます。
「引き続き何卒よろしくお願いいたします」は、過去から現在に至るまでの関係性や協力に対し感謝の念を持ちつつ、今後も同様のサポート・関係・協力をお願いする、という意味合いを込めたビジネス敬語フレーズです。
こうした意味やニュアンスを押さえることで、正しい場面で適切に使いやすくなります。
「引き続き何卒よろしくお願いいたします」と「引き続き何卒よろしくお願い致します」のどちらが正しいかを比較すると、適切なのは「引き続き何卒よろしくお願いいたします」です。
その理由として、まず「お願いいたします」と「お願い致します」の違いを理解する必要があります。「お願いいたします」に含まれる「いたします」は、謙譲語として正しい敬語表現です。一方で「お願い致します」の「致す」は「いたす」の漢字表記ですが、敬語表現としてはひらがなで書くのが適切とされています。これは文化庁の「敬語の指針」においても、「いたします」や「申し上げます」などの謙譲語はひらがな表記が望ましいとされていることに基づいています。
そのため、ビジネスメールや公式な文書では「お願いいたします」と書くのが適切であり、「お願い致します」は避けるべき表現といえます。したがって、「引き続き何卒よろしくお願いいたします」が正しい日本語となります。
継続性を強調できる
ビジネスでは、長期的な関係を築き上げることが大切です。取引先やクライアントとの関係を末永く続けたいとき、「引き続き」という言葉を使うことで「今後も変わりなくお付き合いしたい」という意思表示を明確に示すことができます。
丁寧さと誠実さを伝えられる
「何卒よろしくお願いいたします」というフレーズ自体が非常に敬意を払った言い回しであるため、受け取る相手に対して「真摯にお願いしている」印象を与えやすいです。誠実にお願いする姿勢はビジネスコミュニケーションで欠かせない要素であり、相手との信頼関係構築に大きく役立ちます。
幅広い場面で応用が可能
「引き続き何卒よろしくお願いいたします」は、営業、企画、総務、人事など、あらゆる部署・職種のビジネスマンが活用できます。取引先とのメールや社内向けの依頼文、上司に対する承認依頼など、さまざまなシーンで汎用性が高く、応用しやすいのも特徴です。
文末に使う際の語尾調整
ビジネスメールなどでは「以上、どうぞよろしくお願いいたします。」と締めくくるケースが多くあります。しかし、そこに「引き続き~」を入れる場合、文章全体の流れを意識しないと不自然な印象になりかねません。たとえば、「ご検討のほど、何卒よろしくお願いいたします。」と締めくくった後にさらに「引き続き~」を付け加えるとクドい印象を与えてしまう可能性があります。文末では「今後とも」や「引き続き」のどちらかを使うなど、重複表現を避けるよう工夫が必要です。
相手との関係性に合った敬語表現を選ぶ
「引き続き何卒よろしくお願いいたします」は比較的フォーマルで丁寧な敬語表現ですが、相手が親しい同僚の場合などは少し堅苦しく感じられるかもしれません。状況に応じて「引き続きよろしくお願いします」「これからもどうぞよろしくお願いいたします」など、もう少しくだけた表現を使うことも検討しましょう。相手や場面を見極めて、過不足のない敬語表現を選ぶことがビジネスマナーとして重要です。
使いすぎに注意
日本語には類似の表現が多数存在します。たとえば「今後ともよろしくお願いいたします」「引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」など、同じようなニュアンスのフレーズがいくつもあります。いつも同じフレーズばかり使っていると文章が単調になり、また相手に対して「型にはまった文章で本心が伝わらない」という印象を与えることもあります。文面をバランスよくアレンジしながら使うのが理想です。
件名:【プロジェクト継続のお願い】今後のスケジュールについて
○○株式会社 営業部 △△様
いつも大変お世話になっております。□□株式会社の××です。
先日は新プロジェクトのご提案内容について、ご検討をいただきありがとうございます。前回お送りした資料や見積もりにご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
本案件は貴社との連携が非常に重要となっておりますので、引き続き何卒よろしくお願いいたします。今後のスケジュールについて改めてご相談をさせていただければ幸いです。
それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
署名(会社名・部署・氏名・連絡先)
上記のように「引き続き何卒よろしくお願いいたします」というフレーズを使うことで、継続的に協力関係を続けたいという意図を明確に伝えられます。特に大切なプロジェクトやサービスに関して、相手の協力が必要な場面で重宝する表現です。
件名:【進捗報告】新規プロジェクトの概要
○○部長
お疲れ様です。××(自分の名前)です。
先ほどご依頼いただいておりました新規プロジェクトの概要資料を添付にてお送りいたします。ご多忙のところ恐縮ですが、ご確認いただけますと幸いです。
今後の段取りやタスクの洗い出しについて、改めてご相談させていただければと存じます。引き続き何卒よろしくお願いいたします。
署名(部署・名前・連絡先)
社内メールでも「引き続き何卒よろしくお願いいたします」は使いやすい敬語表現です。ただし、相手が自分の上司や同僚の場合は、より簡潔に「引き続きよろしくお願いします」としても問題ありません。相手や社内文化に合わせて微調整しましょう。
「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
「今後とも」は「これから先もずっと」という意味合いを強調する表現です。「引き続き」に近いニュアンスで、継続的なお付き合いをお願いしたい場面によく使われます。
「これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
目上の方や上司、先輩などに対して使われる丁寧なフレーズです。単に継続をお願いするだけでなく、「指導」「鞭撻」を受けたいという強い姿勢を示します。
「今後ともご支援賜りますようお願い申し上げます」
「支援賜る」は相手からのサポートを謙虚に受けたいという気持ちを表し、ビジネスにおける協力体制を依頼する場合に適しています。特に大切なクライアントや上役など、フォーマルな場面に最適です。
「引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします」
より直接的に「協力してほしい」というニュアンスを伝えたい場合はこちらのフレーズがおすすめです。ただし、相手によっては「ご協力」という表現が少々カジュアルに感じられる場合もあるため、適度に使い分けましょう。
件名で要点をしっかり伝える
メールの件名は、受信者が最初に目にする大切な部分です。「【〇〇のお願い】」「【進捗報告】××プロジェクト」など、要点がひと目でわかる件名を心がけましょう。
例:件名【ご意見募集】新規サービス企画書のレビュー依頼
挨拶文の工夫
「お世話になっております」や「いつもありがとうございます」などの挨拶文を上手に活用すると、受け取る相手に好印象を与えます。社内外問わず、敬意と感謝の気持ちを含ませた挨拶文を心掛けると、メールの冒頭がスムーズになります。
本文は結論から書く
ビジネスメールでは「結論→理由や背景→詳細説明」の順序を意識すると読み手に親切です。結論を冒頭に書くと、相手は「このメールで何を伝えたいのか」がすぐに分かります。忙しいビジネスパーソンにとって、読みやすさと要点の明確化は重要です。
署名を整える
署名には会社名、所属部署、役職、氏名、連絡先(電話番号・メールアドレス)を過不足なく記載しましょう。最近ではSNSやWebサイトのURLを載せる企業も増えていますが、相手との関係性を考慮して適切に配置することが大切です。
継続契約更新時の連絡
サブスクリプションや長期契約サービスなど、定期更新を要するサービスの案内を送るときに活用すると効果的です。相手に「継続いただきたい」という意図を柔らかく伝えられます。
プロジェクトの推進依頼
大型案件や長期プロジェクトにおいて、メンバーやクライアントとの連携が不可欠な場合があります。その際、定期的な進捗報告メールの最後などに「引き続き何卒よろしくお願いいたします」と添えると、プロジェクトがまだ継続中であることと、相手の協力が必要であることを同時に知らせられます。
クレーム対応後のフォロー
万が一トラブルやクレームが発生した場合、その後のフォロー連絡は信頼関係を取り戻すうえで非常に大切です。クレームの解決策や対応策を伝えた後、「引き続き何卒よろしくお願いいたします」と添えることで、「今後もサービスを利用してほしい」という意欲を相手に伝えやすくなります。
社内プロジェクトの協力依頼
社内でも、他部署とのやり取りやプロジェクトを進める過程で、継続的な協力を得たいシーンは多々あります。そうしたときにも「引き続き何卒よろしくお願いいたします」は堅苦しくなりすぎず、かつ丁寧な依頼として機能します。
「引き続きよろしくお願いいたします」
「何卒」が省かれており、ややカジュアルな印象になります。社内での同僚や気心の知れた先輩・後輩にはこちらでも十分です。
「何卒よろしくお願いいたします」
「引き続き」が省かれ、初回の依頼や挨拶の最後などで汎用的に使えます。まだ関係が始まったばかりの取引先や、新たに担当者が変わったシーンでも便利です。
「引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
目上の相手に対して、単なる継続依頼だけでなく「教え導いてほしい」という敬意をさらに強めたバージョンです。上司や師事している方へのメールで使われることが多い表現といえます。
状況に応じて敬語のレベルを調整する
自分と相手の上下関係や親密度、組織文化によって適切な敬語レベルは変わります。厳格な企業文化だと「何卒よろしくお願いいたします」のほうが望ましい場合もありますし、フラットな企業文化では少し砕けた表現が好まれることもあります。
メール全体のトーンを統一する
敬語表現を部分的にだけ多用すると、かえって不自然な文章になることがあります。文章全体のトーンや文体をそろえることで、読み手に落ち着いた印象を与えられます。
感謝の気持ちや誠実さを忘れない
「引き続き何卒よろしくお願いいたします」は単にお願いや依頼の気持ちを表すだけでなく、これまでサポートや協力をしてくれたことへの感謝を踏まえて使われることが多いフレーズです。相手に「継続してサポートしていただきたい」と思うなら、まずは「いつもありがとうございます」「ご協力感謝いたします」など、感謝の気持ちを述べるのが大切です。
ビジネスシーンにおいて、「引き続き何卒よろしくお願いいたします」は非常に汎用性が高く、しかも丁寧で誠実な印象を相手に与えることができるフレーズです。特に次のようなポイントを押さえて上手に使い分けると、より効果的なビジネスコミュニケーションが実現できます。
最後に大切なのは、形式的に「引き続き何卒よろしくお願いいたします」という言葉を添えるだけではなく、その裏にある「相手と良好な関係を続けたい」「これまでの協力に感謝している」という誠意をしっかり示すことです。ビジネスコミュニケーションにおいては、こうした言葉遣いの一つひとつが相手に与える印象を左右します。ぜひ、自分の文章全体の流れや社内外の相手との関係性を踏まえながら、適切なタイミングと敬語表現で「引き続き何卒よろしくお願いいたします」を使いこなしてください。