「伺う」の意味・由来・正しい使い方を徹底解説

最終更新日:2025年2月9日
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ビジネスや日常でのコミュニケーションにおいて、敬語は相手への敬意を示す重要なツールです。その中でも「伺う」という表現は丁寧でありながら、「行く」や「聞く」などの意味を含み、多岐にわたる場面で活用できる便利な敬語表現として知られています。しかし、「うかがう」という言葉を正しく使いこなすためには、その意味や用法をしっかりと理解しておく必要があります。

とくに日本語には「参る」「伺う」「お邪魔する」「拝見する」など、謙譲語や丁寧語として用いられる多くの言葉があり、それらを適切に使い分けることが求められます。「伺う」は一見すると単純に「行く」「聞く」の謙譲語として認識されがちですが、実際には微妙なニュアンスがあり、シーンに合った使い方をしなければ不自然な印象を与えることもあるのです。

本記事では、「伺う」にまつわる意味や正しい使い方、類似表現との比較などを詳しく解説していきます。ビジネスメールや商談、顧客対応など、社会人として必須のシーンで役立つ情報を盛りだくさんでお届けしますので、最後までぜひご覧ください。この記事を読むことで、日頃のコミュニケーションで好印象を与える敬語表現を使えるようになり、あなた自身のビジネスパーソンとしての評価を高める一助となることでしょう。

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「伺う」の基本的な意味と語源

「伺う」の意味

「伺う(うかがう)」は、主に「相手のところへ行く」または「相手の話を聞く・尋ねる」際に使われる謙譲語です。すなわち、自分の行為をへりくだって相手に伝えるための言葉であり、次のような意味を持っています。

  1. 訪問する
    「お宅に伺う」=相手の家や会社などを訪問する際に使われる。
  2. 尋ねる・お聞きする
    「上司に意見を伺う」=相手の意見や考えを謙遜して聞く際に使われる。
  3. うかがって見る(状況を確認する)
    「様子を伺う」=相手や周囲の状況を慎重に観察する。

「伺う」の語源や漢字の成り立ち

「伺う」は漢字で「伺」と書きますが、この字には「人の姿」を表す「イ偏(にんべん)」と、「司る」という意味の「司」が組み合わさっています。古くは「隠れて見る」「そっと見る」という意味合いがあり、そこから転じて「訪問する」「尋ねる」という丁寧な表現として用いられるようになりました。

現代で言えば、誰かに意見を聞いたり、用件があって会いに行くときなどに、「うかがいます」という形で用いられることが一般的です。特にビジネスシーンでは、電話やメール、対面の会話など、あらゆるコミュニケーションの場で「伺う」が使われます。

「伺う」の使い方:ビジネスシーンでの具体例

アポイントを取る場面

ビジネスパーソンにとって、アポイントメント(面談や訪問)の依頼は日常的に発生します。その際に丁寧な印象を与えるために使うのが「伺う」です。以下、具体例を挙げてみましょう。

  • 電話の場合
    「○○株式会社の山田と申します。先日ご連絡をいただいた件で、お打ち合わせにお伺いしたいのですが、ご都合はいかがでしょうか。」
  • メールの場合
    「お世話になっております。○○株式会社の山田と申します。貴社にご提案したい内容がございまして、来週中にお伺いできればと考えております。ご都合のよい日時をお知らせいただけますと幸いです。」

このように、自分が「行く」行為をへりくだって伝えるときには、「お伺いする」「伺わせていただく」など、いくつかのパターンがあります。いずれにしても「伺う」という単語を使うことで、丁寧かつスムーズに用件を伝えることが可能になります。

質問や意見を尋ねる場面

上司や取引先、顧客に対して質問や要望を伺う場合、次のように「お伺いする」を用いると敬意が伝わりやすくなります。

  • 社内ミーティングでの確認
    「先ほどの資料ですが、不明な点があるため、後ほど改めてお伺いしてもよろしいでしょうか。」
  • 取引先への交渉・提案時
    「今回の仕様変更について、貴社としてのご希望をお伺いしたく存じます。どのような形が最適か、ご意見を頂戴できますでしょうか。」

このように、自分が「聞く」という行為を謙遜して伝えるために、「伺う」は非常に便利です。

「伺う」と混同しやすい敬語表現

「伺う」と同様に、訪問や質問の意味を持つ敬語には「参る」「お邪魔する」「お聞きする」などが存在します。それぞれの違いを理解して、正しく使い分けることが大切です。

  1. 参る(まいる)
    「行く」の謙譲語として用いられますが、「参上する」「参ります」など、どちらかと言えば動作の主体が自分であることを強調する表現です。一方、「伺う」は相手に敬意を寄せたニュアンスがより強調されます。
  2. お邪魔する(おじゃまする)
    これは相手の場所に行く際に、「相手の時間や空間に入り込む」ことを恐縮して表現する言葉です。「伺う」よりもフランクな印象があり、カジュアルな会話でもしばしば用いられます。ビジネス文書や上司への挨拶では、ややくだけた印象になる場合もあるため、注意が必要です。
  3. お聞きする(おききする)
    「聞く」の謙譲語として使われる表現ですが、「尋ねる」という意味合いが強い場合には「伺う」のほうが適切なシーンもあります。「お聞きする」は自分が能動的に相手の情報を取得するニュアンスがあり、もう少しストレートに「聞きたい」という気持ちを伝える際に用いられます。

「うかがいます」と「お伺いします」の微妙な違い

「うかがいます」と「お伺いします」は、どちらも「伺う」を使った正しい敬語表現です。一般的に、文頭や文章の冒頭などでは「お伺いします」のほうが丁寧な印象を与えます。一方で、会話の流れの中では「うかがいます」と少し短くすることもあります。厳密な違いこそ小さいですが、言葉遣いや文脈に合わせて微調整することで、より洗練された話し方になります。

  • 使用例1(文章・メール)
    「ご都合のよろしい日時をお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。」
  • 使用例2(電話・口頭)
    「それでは後ほど、改めて詳細をうかがいますね。」

ただし、ビジネスでは“より丁寧”を心がけたほうが無難な場合が多いです。そのため、書き言葉やフォーマルなシーンでは「お伺いします」を使う方が安心でしょう。

「伺う」の類語と使い分け

「伺う」と同じように「行く」「尋ねる」という意味を含む類語を、以下のように整理しておきます。

  1. お訪ねする
    「訪ねる」の謙譲語ですが、やや古風・硬い表現でもあります。「実家をお訪ねする機会がありました」など、改まった場面で使われることが多いでしょう。
  2. お聞きする
    すでに触れたように、「聞く」の謙譲語であり、情報をもらう行為をへりくだって表現します。ただし「尋ねる」というニュアンスよりも、「音声や言葉を聞く」という行為が強調される傾向があります。
  3. ご意見をいただく
    これは「伺う」と同様に「尋ねる」「聞く」という意味を持ちますが、どちらかと言うと「見解や情報をもらう」ことに焦点が当たっています。ビジネスシーンでは頻出ですが、謙譲表現ではあっても「伺う」と完全に置き換えられるわけではありません。

重要なのは、状況に合った最適な言葉を選ぶことです。「伺う」は、相手を立てながら自分の行為を控えめに表現する便利な言葉ですが、濫用するとくどく感じられる可能性もあります。多彩な敬語表現を組み合わせながら、円滑なコミュニケーションを図るようにしましょう。

敬語・ビジネスマナーの観点から見た「伺う」活用のポイント

過剰な敬語は避ける

「お伺いさせていただきます」といった表現を見かけることがあります。しかし、「伺う」自体が十分に謙譲を含む言葉であるため、「させていただく」を重ねると二重敬語になってしまう恐れがあります。

  • 誤用例:「明日、お伺いさせていただきます。」
    • この場合は「明日、お伺いします。」で十分丁寧です。

ただし、会話や文章の流れによっては「伺わせていただきます」と書いた方が自然な場合もあるため、臨機応変に使い分けるのがベストです。意識するべきは、「余計な敬語表現を付け足さない」こと。それだけで文章や会話はぐっと洗練され、相手にわかりやすくなります。

「訪問・質問」のどちらを意味するか明確にする

「伺う」は、「行く」と「尋ねる」の両方の意味が含まれており、文脈によって解釈が分かれる場合があります。メールや電話で「伺いたいことがあります」とだけ伝えてしまうと、訪問なのか質問なのか相手がわからないケースも生じます。そこで、文脈を補足して相手に勘違いさせない工夫が必要です。

  • 質問の場合:「ご意見を伺いたいのですが」
  • 訪問の場合:「ご都合のよろしいときにお伺いしてもよろしいでしょうか」

このように、具体的に明示することで相手はスムーズに対応しやすくなります。

「伺う」を使うときに気をつけたい誤用例

  1. 「うかがえますか?」の乱用
    相手に質問をしたい場面で、「うかがえますか?」と尋ねるケースがあります。しかし、ビジネスの場では少し軽い印象を与えることもあるため、もう少し丁寧に言い換えると好ましいでしょう。たとえば「お伺いしてもよろしいでしょうか?」などが一般的です。
  2. 「伺えたら幸いです」
    これも不自然ではありませんが、若干回りくどい表現です。「お伺いできれば幸いです」「伺うことができればありがたいです」など、シーンに応じて自然な日本語に整えるのがおすすめです。
  3. 「伺う」の連発
    一つの文章や会話の中で「伺う」を過剰に使い続けると、かえって不自然に感じられます。敬語表現全般に言えることですが、適度なバリエーションを持たせることが重要です。たとえば「うかがいます」「確認させてください」「お尋ねします」「お聞きしたい」などを適宜使い分けると、読みやすさと伝わりやすさがアップします。

「伺う」を使ったメール・手紙の例文集

ここでは、実際にビジネスシーンで使える例文をいくつか紹介します。自分の状況に合わせて一部修正したうえで活用してみてください。

打ち合わせアポイントのメール例

件名:打ち合わせのご案内(○月○日 お伺いの件)

○○株式会社 ○○部 ○○様

いつも大変お世話になっております。
△△株式会社の山田と申します。

先日ご相談いただきました新プロジェクトの件につきまして、詳細を詰めさせていただきたく存じます。つきましては、来週中にお伺いしたいのですが、ご都合のよろしい日時をお知らせいただけますでしょうか。

お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。


△△株式会社 山田太郎
メール:xxxxx@example.com
電話:03-xxxx-xxxx

お礼状・挨拶状における「伺う」

○○様

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
先日は弊社ブースへお越しいただき、ありがとうございました。後日改めて、御社へお伺いできればと存じております。ぜひともスケジュールをご相談できれば幸いです。

今後とも変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。


△△株式会社 企画部 山田太郎

クレーム対応・フォローアップ時

○○株式会社 ○○部 ○○様

日頃より弊社製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
このたびはご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。
つきましては、原因究明と再発防止策について直接お話を伺いたく存じております。もしよろしければ、来週中にお時間を頂戴できませんでしょうか。

ご多忙の折、恐縮ではございますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。


△△株式会社 カスタマーサポート部 山田太郎


SNSやカジュアルなコミュニケーションでの「伺う」の取り扱い

今日では、SNSやチャットツール(Slack、Microsoft Teamsなど)を利用したコミュニケーションも活発です。ビジネスであっても、やり取りの相手や場面によってはカジュアルな文章になることがあります。その場合でも、最低限の敬意を保ちながらスムーズなやり取りをするためには「伺う」を使うべきかどうか判断する必要があります。

  • 社内チャットなど、距離が近い相手への連絡
    「○○さん、今少しお時間よろしいですか? 先ほどの件についてお話うかがえたらと思います!」
    • 砕けすぎずに、ほどよく丁寧な印象を与える表現です。
  • 社外とのやり取り(ビジネスSNSなど)
    「こんにちは。突然のメッセージ失礼いたします。お忙しいところ恐れ入りますが、こちらの件について少しお伺いしてもよろしいでしょうか?」
    • 初回の接点やあまり親しくない相手の場合は、文章を多少丁寧に整えると好印象です。

一方、あまりにフランクな場面では「伺う」を使うとかえって堅苦しく感じられることもあります。相手との距離感やメディアの特徴を踏まえて、柔軟に表現を変えることが大切です。

まとめ

最後に、「伺う」を正しく使えるようになることで得られるメリットを振り返ってみましょう。

  1. ビジネスシーンでの信用度向上
    丁寧な敬語を使いこなせると、相手から「きちんとした人」という印象を持ってもらいやすくなります。とりわけ「伺う」は訪問や質問などビジネスの基本行動に関わるため、その正しい使い方を身につけるだけでコミュニケーションが円滑に進みます。
  2. 相手への配慮が伝わる
    「伺う」は自分の行為(行く・聞く)をへりくだる表現であり、相手を尊重する姿勢が自然と伝わります。「一緒に仕事がしやすい」「この人なら安心して任せられる」といった好印象を与えることにつながるでしょう。
  3. 誤用リスクを減らせる
    敬語には多くの表現があり、二重敬語や誤った謙譲表現を使ってしまうと相手に違和感を与える場合があります。しかし「伺う」の使い分けをしっかり理解しておけば、相手を不快にさせたり、誤解を招いたりするリスクを格段に減らせます。

「伺う」はビジネス敬語の基本中の基本とも言える表現ですが、意外と細かな使い方を誤解している人も多いのが実情です。訪問を意味するのか、質問を意味するのか、あるいは状況を静かに見守るのか。そうした文脈を正確につかみ、相手に伝わる形で言葉を選びましょう。それだけで、コミュニケーション力は飛躍的に高まります。

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