「ていで」という表現を耳にしたことはありますか?一見すると聞き慣れない表現ですが、「~という体(てい)で」「~した体で」などの形で用いられ、話し手が「~というふりをする」「~という状況・前提で行動する」といったニュアンスを伝えるために使われる日本語特有の表現です
本記事では、「ていで」の基本的な意味から、実際の会話やビジネスシーンでの用法、他の類似表現との比較、誤用例まで、あらゆる角度から「ていで」を詳しく解説します。これを読めば、「ていで」を使いこなし、より自然で表現力豊かなコミュニケーションが可能になるでしょう。
目次
「ていで」は「体(てい)」という漢字表記が可能な言葉で、「様子」「態度」「状態」を意味します。「~という体で」「~した体で」という表現は、「~であるかのように振る舞う」「~という前提で行動する」といった意味合いを持ちます。
つまり、実際はそうでないのに、あたかも「そうである」かのように装ったり、想定したりするニュアンスがポイントです。
【例文】
日常会話では、相手に対して「実際とは異なる態度・前提」を強調する際に「ていで」が使われます。やや砕けた表現としては、「~のふりをして」と同義的に用いられることがあります。
【例文】
このように「ていで」を用いると、単なる「ふりをする」よりも少し客観的かつ表現力豊かになります。
ビジネスでは「ていで」を多用する場面は多くありませんが、企画書やプレゼン資料、ビジネス文書で状況を仮定する際に用いることがあります。
【例文】
ここでは、「実際にはそうでないが、そうであると仮定して考える」という前向きなシミュレーション的ニュアンスが込められます。
ただし、ビジネスメールなどの正式な文書で「~ていで」と書くと、ややカジュアルで口語的な印象を与えかねません。社内向けのプレゼンや企画検討資料で用いる程度が適切です。
「ていで」は「つもりで」「ふりをして」「前提で」といった類似表現と混同されがちです。それぞれの違いを見てみましょう。
「ていで」は「つもりで」「ふりをして」「前提で」の中間的なニュアンスを持ち、「あたかも~であるかのような状態・態度」を示す表現といえます。
「ていで」はあくまで「見かけ上」や「仮定上」の状態を示す表現で、実際にはそうでないことが前提です。そのため、実際に事実である場合に「ていで」を使うと誤解を招くことがあります。
【悪い例】
また、ビジネスや公式な文書においては、「体で」を使うとやや砕けた印象を与えることもあるため、よりフォーマルな「想定で」「前提で」を使う方が無難な場合もあります。
「体(てい)」は「様子」や「態度」「状態」を意味する言葉です。古くから「体裁(ていさい)」「体面(たいめん)」「体(てい)よく」など、「表面上の様子」を示す単語に含まれており、そこから「~という体で」という形が生まれたと考えられます。
このように「ていで」は、日本語特有の「表面と実態のズレ」を表現する独特の副詞的表現といえます。
英語で「ていで」に対応する直訳は難しいですが、以下の表現で近いニュアンスを伝えられます。
【例文】
これらを組み合わせることで「ていで」のニュアンスを英語圏の相手にも伝えられます。
Q1:ビジネスメールで「ていで」を使ってもいいですか?
A:公式な文書では避けたほうが無難です。「~という前提で」「~と想定して」「~として扱い」といった表現の方がフォーマルで明確です。
Q2:「つもりで」と「ていで」は同じですか?
A:微妙にニュアンスが異なります。「つもりで」は主観的な意識に焦点があり、「ていで」は行動や見かけ上の状態に焦点があります。
Q3:文学作品などでも使われますか?
A:使われます。特に人物が欺いたり、偽ったりする場面や、仮定的状況を強調したいシーンで「ていで」が用いられます。
「ていで」は、「あたかもそうであるかのように」装ったり、行動したりする際に用いる表現で、日本語特有のニュアンスを持っています。「つもりで」「ふりをして」「前提で」など、似た表現との違いを理解することで、より的確な表現が可能になります。
ビジネスや公式な場面ではよりフォーマルな表現を用いることが望ましいですが、日常会話や創作、フランクな文章では「ていで」を使いこなすことで、話や文章に一層の味わいを持たせられるでしょう。
本記事を参考に、「ていで」の微妙なニュアンスを自分のコミュニケーションに取り入れ、より豊かな表現力を身につけてください。