臨床工学技士について、仕事内容、年収、やりがいなどを解説

最終更新日:2024年9月27日
臨床工学技士

臨床工学技士は、医療機器の操作・保守・管理を行い、患者の治療をサポートする専門職です。特に人工透析装置や心臓・肺に関わる生命維持装置を操作し、医師と協力して診療を支える役割を果たします。臨床工学技士は、医療機器の高度な知識と技術を駆使して、安全で効果的な医療を提供するために重要なポジションにあります。

臨床工学技士の仕事内容

人工透析の管理

臨床工学技士は、人工透析装置の操作と管理を行います。腎不全患者に対して、血液から老廃物を除去する透析治療を担当し、透析中の機械の調整やトラブル対応を行います。透析治療は患者にとって長時間にわたるため、機械の正確な管理が重要です。

生命維持装置の操作

心臓や肺の機能を補助するための人工心肺装置、人工呼吸器、体外循環装置などを操作します。特に手術中や緊急時に、患者の命を守るために必要な装置を適切に管理・操作することが、臨床工学技士の重要な役割です。医師や看護師と連携して、患者の安全を確保します。

医療機器の保守・点検

臨床工学技士は、病院内の医療機器の保守点検やメンテナンスも担当します。機器が正常に動作するかどうかを定期的に確認し、不具合があれば修理や交換を行います。特に、生命維持に関わる機器の点検は、患者の安全に直結するため、細心の注意が必要です。

手術室でのサポート

手術中には、人工心肺や麻酔器などの医療機器を操作し、医師の指示のもとで手術をサポートします。特に心臓手術や大がかりな手術では、臨床工学技士の技術が不可欠です。正確で迅速な対応が求められます。

臨床工学技士の年収

臨床工学技士の年収は、勤務する医療機関の規模や地域、経験によって異なります。大学病院や総合病院、クリニックなど、様々な医療現場で働くことができます。

年齢層平均年収解説
20代約350万円~450万円若手技士として経験を積む時期。
30代約450万円~600万円中堅技士として、医療機器の管理や操作を担当。
40代以上約600万円~800万円ベテラン技士として、管理職や後進の指導を行うことも多い。

初任給と年収

臨床工学技士の初任給は、月額約20万円~30万円程度が一般的です。さらに、夜勤手当や緊急対応手当などが加わることが多く、これにより年収が上昇します。経験を積むことで、給与も上昇していきます。

臨床工学技士になるには

国家資格の取得

臨床工学技士として働くためには、国家資格を取得する必要があります。資格取得のためには、臨床工学技士養成施設で3年以上の学習を行い、卒業後に臨床工学技士国家試験に合格する必要があります。

大学や専門学校での学習

臨床工学技士になるためには、大学や専門学校で医療機器の操作方法や人体の解剖学、病理学、物理学など幅広い知識を学びます。特に、医療機器の理論と実際の操作を学ぶことが重要です。また、臨床実習を通じて、実際の医療現場での経験も積むことができます。

国家試験の受験

学習を修了した後、臨床工学技士国家試験を受験します。試験では、医療機器の技術的知識や人体の解剖学、法規に関する内容が出題されます。合格することで、臨床工学技士として働く資格が得られます。

臨床工学技士の職場

総合病院

臨床工学技士の主な職場は、総合病院や大学病院です。ここでは、人工透析装置や人工呼吸器、心臓や肺の機能をサポートする機器など、多くの医療機器を管理・操作します。医師や看護師と連携しながら、医療チームの一員として活躍します。

クリニック

クリニックでは、人工透析を中心とした業務が多く、特に腎臓病の患者に対しての透析治療を行います。病院と比べて規模は小さいですが、患者とより密接に接する機会が多く、個別対応が求められることもあります。

メディカル機器メーカー

医療機器の開発や製造を行うメディカル機器メーカーで働く臨床工学技士もいます。特に、医療機器の使用方法や保守点検のサポート、病院への導入支援を行うことが多く、技術的な知識を活かして新しい医療機器の開発に携わることもあります。

臨床工学技士に向いている人

機械操作が好きな人

臨床工学技士は、医療機器を操作・管理する仕事であるため、機械に対する興味があり、操作やメンテナンスが得意な人に向いています。

責任感が強い人

臨床工学技士の仕事は、患者の命を預かる重要な役割を果たすため、責任感が強く、正確で慎重に業務を遂行できる人が適しています。

医療に興味がある人

医療機器の操作やメンテナンスを通じて、患者の治療に直接関わる職業です。医療に興味があり、人々の健康をサポートしたいという強い意志が必要です。

臨床工学技士に必要なスキル

医療機器の操作技術

臨床工学技士には、医療機器を正確に操作する技術が求められます。人工透析装置や人工呼吸器、生命維持装置などを適切に使用し、トラブルが発生した場合には迅速に対応できる技術力が必要です。

医学的知識

臨床工学技士は、医療機器を操作するだけでなく、患者の病状や治療内容を理解していることが求められます。特に、医師と連携して治療をサポートするため、基礎的な医学知識が重要です。

コミュニケーション能力

臨床工学技士は、医師や看護師、患者とコミュニケーションを取る機会が多い職業です。特に、緊急時や手術中には、チームワークが求められるため、的確なコミュニケーション能力が必要です。

臨床工学技士のやりがい

生命を支える仕事

臨床工学技士は、医療機器を使って患者の生命を支える仕事です。人工透析や生命維持装置を操作することで、患者が安全かつ快適に治療を受けられる環境を提供する点で、大きなやりがいを感じることができます。

最新の医療技術に携われる

臨床工学技士は、医療技術の進歩とともに、最新の医療機器を

扱う機会が多い職業です。医療の最前線で活躍し、常に新しい技術を学び続けることができる点が魅力です。

臨床工学技士の課題

長時間の勤務や夜勤

病院では、24時間体制で患者をサポートするため、臨床工学技士にも夜勤や緊急対応が求められることがあります。特に、緊急時の対応には迅速かつ正確な判断が求められるため、体力や精神的な負担がかかることもあります。

技術習得の難しさ

臨床工学技士は、医療機器の高度な技術を習得する必要があります。特に、新しい機器や技術が導入されるたびに学び続ける姿勢が必要であり、技術の習得には時間と努力が求められます。

臨床工学技士の将来展望

医療機器の進化による役割拡大

医療機器の進化に伴い、臨床工学技士の役割はますます重要になっています。特に、ロボット手術や人工臓器など、最先端の医療技術が導入される中で、臨床工学技士の技術力が求められる場面が増えています。

高齢化社会における需要増加

日本の高齢化社会に伴い、人工透析や医療機器の利用が増加しています。これにより、臨床工学技士の需要は今後も増加し、医療現場での活躍の場が広がることが予想されます。

まとめ

臨床工学技士は、医療機器の操作や管理を通じて、患者の治療をサポートする重要な職業です。人工透析や生命維持装置など、高度な医療機器を扱いながら、医療チームの一員として活躍します。今後も医療技術の進化や高齢化社会の進展に伴い、臨床工学技士の役割はさらに重要性を増していくでしょう。

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