「存じます」の意味・由来・正しい使い方を徹底解説

最終更新日:2025年2月9日
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ビジネスや接客、フォーマルな文章など、改まった場面で用いられる敬語表現は多岐にわたります。中でも「存じます」は非常に頻出度の高い言葉の一つです。「思う」「知る」といった意味を含んだ謙譲語としての用法が中心ですが、その分、誤用も多く見られがちです。とくにビジネスメールでは「存じます」を正しく使うだけでなく、シチュエーションに応じた適切な言い回しへと発展させることが大切です。本記事では「存じます」というキーワードを軸に、その正しい意味や用法、使い方のポイント、さらに間違いやすい例・よくある疑問などを包括的に解説します。

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「存じます」の意味と由来

まずは「存じます」という言葉の基本的な意味を確認しましょう。「存じます」は、「存じる」という動詞の連用形に丁寧語の「ます」を付けた形です。もともと「存じる」は「知る」「思う」という意味を持つ謙譲語であり、自分の行為や思考をへりくだって表現するときに用いられます。

  • 「存じる」の語源
    「存じる」は古語の「存ず」に由来し、「存ず」は「知る」「思う」を意味していました。ここに敬語の概念が加わり、「存じる」として謙譲の意味合いが濃くなっています。さらに、それを丁寧に言い表すために「ます」を付け、「存じます」という形になります。
  • 敬語の分類上の位置づけ
    敬語には大きく「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」がありますが、「存じる」は謙譲語に分類されます。自分が「知る」「思う」という動作をへりくだって相手を立てる表現であり、ビジネスシーンや目上の人に対して使う際に非常に便利な言葉です。

「知っております」「思っております」との微妙な違い

「存じます」と似た意味を持つ表現に「知っております」や「思っております」などがあります。こちらは「知る」「思う」の丁寧語(あるいは謙譲表現)として使われますが、「存じます」はさらにワンクッション謙譲度が高い表現として認識されています。そのため、どちらかといえばよりかしこまった場面や、ビジネス上の重要な場面で「存じます」を用いるといった区別がされることもあります。

「存じます」と「思います」「知っています」の違い

「存じます」は「思います」「知っています」の謙譲語ですが、日常会話では「思います」「知っています」で済ませることが多いでしょう。ここでは、その違いを明確にしておきます。

  1. 「存じます」=「思う/知る」の謙譲語
    • 「存じる」+「ます」という構成。
    • 自分の気持ちや知識をへりくだって述べる表現。
    • 公的・ビジネス的なニュアンスが強い。
  2. 「思います」=ごく一般的な丁寧語
    • くだけすぎず、フラットな丁寧さ。
    • 友人や同僚との会話、軽いビジネスシーンでも使える。
  3. 「知っています」=「知る」の丁寧語
    • 形式的に丁寧ではあるが、謙譲語ではない。
    • 目上の人へ自分が知っている事実を伝える場合、「存じております」がより適切な場合も。

使い分けのポイント

  • 公的な文書やフォーマルなメール
    →「存じます」を使うことで謙遜と丁寧さを示す。
  • 通常のビジネス会話や軽い文章
    →「思います」「知っています」や「思っております」「知っております」でも十分敬意が伝わる場合がある。
  • 相手との距離感
    → 目上の人や取引先に対してはなるべく「存じます」を使い、敬意を明確に示すとよい。

「存じます」の正しい使い方

「存じます」は敬語表現としては比較的シンプルで、主に以下の形で使われます。

  1. 肯定形: 「◯◯と存じます」「◯◯かと存じます」
  2. 否定形: 「◯◯ではないと存じます」
  3. 疑問形: 「◯◯かと存じますが、いかがでしょうか?」
  4. 現在進行形: 「◯◯していると存じます」
  5. 過去形: 「◯◯だったと存じます」

ビジネスシーンでは「~かと存じますが、ご確認いただければ幸いです」「~と存じますので、よろしくお願いいたします」といった形で使われることが一般的です。あくまで「自分の考えや認識」をへりくだって述べるのがポイントであり、相手に対して敬意を表しつつ、自分の立場を下げて発言するのが「存じる」系表現の特徴です。

ビジネスにおける具体的な使用例

メールでの例文

  1. ご報告の場合
    • 「こちらの件につきましては、すでに完了いたしましたのでご報告申し上げます。問題がないかと存じますが、何かございましたらご連絡いただければ幸いです。」
  2. 確認を依頼する場合
    • 「先日のメールにてお送りいたしました企画書の内容に誤りがないかと存じますが、念のためご確認をお願いいたします。」
  3. 提案をする場合
    • 「新規プロジェクトの進め方につきまして、以下の方法が最適かと存じます。ご意見をいただければ幸いです。」
  4. 謝罪をする場合
    • 「誤送信が発生してしまい、大変ご迷惑をおかけしました。重ねてお詫び申し上げます。不手際の無いよう改善を図る所存でございますので、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。」

電話応対での例文

  • 「お忙しいところ失礼いたします。◯◯社の△△(氏名)と申します。先日の件についてお伺いしたいと存じますが、いまお時間よろしいでしょうか?」
  • 「担当者に確認をいたしましたところ、本日中に対応可能と存じます。詳細は改めてメールにてご連絡いたします。」

プレゼンテーションや会議での例文

  • 「本日の会議では、3つのポイントに絞って議論を深める必要があると存じます。まずは第一のポイントから意見を伺いたいと思います。」
  • 「最終的な決定には経営陣の承認が必要かと存じますので、その手続きについて追ってご連絡させていただきます。」

ビジネスメールや会議、プレゼンテーションなど、改まった場面で「存じます」を的確に使うと、文章や発言全体が引き締まり、より丁寧な印象を与えることができます。

間違いやすいポイントとよくある誤用

「存じます」を使う際には、以下のような間違いが多く見受けられますので注意が必要です。

  1. 「存じております」と「承知しております」の混同
    • 「承知しております」は「了解しました」「わかりました」という意味で、「存じております」は「知っています」という意味合い。状況に合わせて使い分けが求められます。
  2. 「ご存知」「ご存じ」などの尊敬語との混同
    • 「ご存じ」は相手が「知っている」状態を尊敬語で表す言葉です。「社長はその件をご存じです」であれば「社長」が知っているということを示します。一方、「存じます」は自分が「知る」「思う」を謙譲するので、使い分けが正しくないと誤用とみなされる恐れがあります。
  3. 「思う」の意味で安易に使いすぎる
    • 何でもかんでも「存じます」を多用すると、文章がくどくなったり、場合によっては過剰なへりくだりに映ったりすることがあります。適切な場面で必要な分だけ使うことが大切です。
  4. 文頭の連発
    • 例)「◯◯かと存じます。△△かと存じます。□□かと存じます。」と連続してしまうと、読みづらさやわざとらしさを生む原因となるので、一つの文やメールの中でバランスを取って使うようにするとよいでしょう。
  5. 時制の混乱
    • 「◯◯と存じておりました」「◯◯かと存じております」といった形で過去・現在・未来の時制を混乱させるケースがあります。文脈に応じて過去形か現在形かを正しく判断しましょう。

「ご存じ」「存じ上げる」との違い

敬語表現には「存じます」のほかにも類似表現が数多くあります。ここではとくに混同しやすい「ご存じ」「存じ上げる」について解説します。

「ご存じ」

  • 意味: 尊敬語。「(相手が)知っている」の意。
  • 使い方: 目上の方に対し、「〜をご存じですか?」と相手の知識をうかがう形で使う。
  • 注意点: 自分に関しては使えない。自分が何かを知っているという時に「ご存じです」とは言わない。

「存じ上げる」

  • 意味: 「存じる」よりもさらに丁寧な謙譲語。
  • 主な用途: 自分が相手のことを存じている、知っている、という意味をさらにへりくだって表す。
  • 例文: 「◯◯様のことは以前から存じ上げております。」「△△株式会社のご活躍も存じ上げております。」

「存じます」は比較的オールマイティに使える一方、「存じ上げる」は少し特別感のある丁寧度が高い表現です。例えば、大変名の知れた方に初めて挨拶するときなど、「お名前はかねがね存じ上げております」のように使うと丁寧かつ敬意が伝わります。

丁寧な文章での言い換え表現

文章内で「存じます」を頻繁に使いすぎると、冗長になったり文章が単調になったりします。そこで、同じような意味を伝えつつ、別の言い回しにするテクニックを身につけておくことも大切です。以下はよく使われる言い換え表現です。

  1. 「思います」 → 「考えております」
    • 「◯◯かと考えております」
    • 多少フラットな印象になるが、「存じます」と同等の敬語度合いで使える。
  2. 「知っています」 → 「把握しております」
    • 「その件は把握しております」
    • 「承知しております」と似たニュアンスだが、相手への敬意が保たれる。
  3. 「かと存じます」 → 「かと考えております」
    • 微妙なニュアンスの違いがあるが、文章が続く場合の言い換えとして有用。
  4. 「承知いたしました」
    • 「かしこまりました」のように、相手の伝達事項を理解したことを示す表現として使える。

このように表現の幅を広げることで、文章のメリハリが増し、相手にスムーズに内容が伝わるようになります。

「存じます」を使いこなすための練習方法

シャドーイングや音読

メール文章を頭の中で組み立てるだけでなく、実際に口に出して練習することで、自然な言い回しを体得できます。ビジネス文書やビジネスメールの例文を声に出して読むと、「存じます」がどのように響くかや文全体の流れが掴みやすくなります。

サンプルフレーズの積極活用

本記事で紹介した例文や、他のビジネス文書の定型文などをストックしておき、必要なときにカスタマイズして使うのも有効です。実際に使用する場面を想定して何度も練習すると、自然と定着していきます。

書いた文章を客観的に見直す

文章作成後に必ず見直しを行い、「存じます」の使いすぎや不自然な敬語表現がないかチェックします。上司や先輩、あるいは日本語ネイティブ以外の同僚がいれば、客観的にフィードバックをもらうことで語感や敬語の適切さをより高めることができます。

まとめ

本記事では「存じます」という敬語表現に焦点を当て、その意味や使い方、他の敬語との違い、ビジネスシーンでの実践例、さらには間違いやすいポイントや注意点を網羅的に紹介しました。改めてポイントを整理すると、以下のようにまとめられます。

  1. 「存じます」は「思う/知る」の謙譲語
    • 自分の行為や思考をへりくだる表現であり、主にビジネスやフォーマルなシーンで使用する。
  2. 「思います」「知っています」との違いを認識する
    • 「思います」「知っています」よりも謙譲度が高い。相手やシーンに応じて使い分けが必要。
  3. ビジネスシーンでの具体的な使い方を覚える
    • メール、電話、会議、プレゼンなど様々な状況で活用可能。「◯◯かと存じますが、いかがでしょうか」「◯◯と存じますので、よろしくお願いいたします」が定番例。
  4. よくある誤用・注意点
    • 「ご存じ」との混同、「承知しております」との混同に気をつける。
    • 「存じます」を連発しすぎない。時制に注意する。
  5. 「ご存じ」「存じ上げる」との使い分け
    • 「ご存じ」は尊敬語、相手が知っている場面で使う。
    • 「存じ上げる」はさらに丁寧な謙譲語。
  6. 言い換え表現を知り、文章にメリハリを与える
    • 「考えております」「把握しております」「承知いたしました」などの活用で過剰な繰り返しを避ける。
  7. 練習や見直しを欠かさない
    • 声に出して練習したり、書いた文章を見直して第三者からのフィードバックを得る。

ビジネスや改まった場面で必要不可欠な敬語のひとつである「存じます」。正しく使いこなすことで、相手に対する敬意を示しながら自分の考えや認識を明確に伝えることが可能となります。とくに敬語を多用する日本語文化においては、言葉遣いが印象や評価に大きく影響することが少なくありません。本記事を参考に、自信をもって「存じます」を使いこなしていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。本記事の内容を踏まえて実践し、より洗練されたビジネスコミュニケーションを目指してください。皆様が適切な敬語表現を身につけ、スムーズなやり取りを行い、ビジネスシーンでの信頼関係を築く一助となれば幸いです。

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