「いたしました」の意味・使い方・注意点からビジネスメールでの実例まで完全ガイド

最終更新日:2024年12月9日
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「いたしました」は、ビジネスメールや公式な場面で多用される表現で、「しました」よりも一段格上の丁寧さや敬意を示せる謙譲表現です。シンプルな言い回しの差が、相手への信頼感や好印象につながることも少なくありません。本記事では、「いたしました」の基本的な意味から使い方、よくある間違い、類似表現との比較、英語での対応までを解説します。これを読めば、ビジネスコミュニケーションをより洗練させるための表現力が身につくでしょう。

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「いたしました」とは?基本的な意味と成り立ち

「いたしました」は、動詞「する」の謙譲語である「いたす」に、過去・完了を表す「ました」を組み合わせた表現です。「いたす」は「する」をへりくだって述べることで、話し手である自分を低く位置づけ、相手や状況に敬意を払う機能を持っています。そして「ました」をつけることで、行為がすでに完了していることを示します。

このように、「いたしました」は「しました」よりも一段階丁寧かつ改まった言い回しです。特に、社内外を問わずフォーマルな場面、たとえば上司や取引先、顧客への連絡、公式文書などで好まれます。これにより、「しました」だけではカバーしきれない礼儀正しさや敬意が文章や会話に付与されるのです。

たとえば、単純に「送りました」と言う場合と「お送りいたしました」と言う場合では、後者のほうが圧倒的に丁寧な印象を与えることができます。このわずかな言い回しの違いが、コミュニケーションの質を大きく左右することもあるのです。

「いたしました」のビジネスシーンでの使い方

ビジネスの現場では、取引先とのメール対応、顧客へのお知らせ、上司への報告書など、多くの場面で丁寧な言葉遣いが求められます。「いたしました」を活用することで、相手に対して誠意と敬意を示し、信頼感の醸成につなげることができます。

【例文】

  • 「先ほどご依頼いただいた資料をお送りいたしました。ご確認のほどよろしくお願いいたします。」
  • 「ご注文いただいていた商品は本日発送いたしました。到着まで今しばらくお待ちください。」

これらの例では、「送りました」「発送しました」ではなく「お送りいたしました」「発送いたしました」を用いることで、より改まった印象が生まれます。また、ビジネスメールでは「致しました」と漢字表記することもありますが、近年では「いたしました」とひらがなで書くほうが、柔らかく読みやすいとされる傾向があります。

ビジネスの場面では、時間厳守や正確な情報提供が求められるため、敬語表現の選択も相手への配慮の一環といえるでしょう。「いたしました」はそのうえで非常に有効な手段であり、わずかな表現の違いがコミュニケーション円滑化のカギになります。

「いたしました」と「しました」の違い

「しました」は敬語ではなく丁寧語です。丁寧語は確かに失礼にはあたりませんが、相手に対するへりくだりの要素は含まれず、あくまで自分の行為を丁寧に述べるにとどまります。一方、「いたしました」は謙譲表現であり、話し手である自分を低めることで相手を高め、結果的に敬意を示します。

たとえば、社内の同僚同士であれば「提出しました」でも十分ですが、社外の取引先や顧客に対して報告する場面では、「提出いたしました」のほうが好まれることが多いです。
この違いは微細ですが、ビジネス上の印象や信頼関係に影響を与えます。よりフォーマルで信頼感を重視したい場合には「いたしました」を選択することをおすすめします。

「いたしました」と「致しました」の違い

「いたしました」と「致しました」は、ひらがな表記と漢字表記の違いがあります。基本的な意味や使い方に大きな差はなく、どちらを用いても尊敬や丁寧なニュアンスは伝わります。

一般的には以下のような傾向があります。

  • 「いたしました」:柔らかく親しみやすい印象。ビジネスメールや日常的な改まった場面で幅広く使用される。
  • 「致しました」:やや硬い印象。公的文書、式典、公式発表など、よりフォーマルな場面に用いられることが多い。

社内メールや取引先への一般的な報告なら「いたしました」、厳粛な式典の挨拶文や公的な通知文では「致しました」と、場面によって使い分けるとより適切な印象を与えられます。

間違えやすい使い方と注意点

「いたしました」は自分(自分側)が行った行為に用いる謙譲表現です。相手が行った行為に対して「いたしました」を使うと不自然となります。たとえば、相手が送ってくれた資料に対して「お送りしていただいた資料を確認いたしました」と言うのは、敬語の重複と相手の行為へへりくだる矛盾が生じます。

(誤)「先ほどお送りしていただいた資料を確認いたしました。」
(正)「先ほどお送りいただいた資料を確認いたしました。」

また、過剰なへりくだりや冗長表現は読み手に負担をかけます。シンプルかつ的確な表現こそが、ビジネス文書の要です。「いかにも敬語らしいから」と長いフレーズを多用すると、逆に伝わりにくくなるので注意しましょう。

(冗長な例)「ご連絡を賜りましたこと、誠に感謝申し上げますので、お礼を申し上げました上にて改めてご報告いたしました。」
(自然な例)「ご連絡ありがとうございます。ご要望の件、対応いたしました。」

後者のほうがスッキリとわかりやすく、相手にも好印象を与えます。

類似表現との比較(「いたします」「いたしております」「いたしておりました」など)

「いたしました」は過去や完了を表す表現ですが、状況や時制によって類似の謙譲表現を用いることができます。

  • 「いたします」:現在・未来形。「これから行う」または「今、行っている最中」ではない、単純な未来行為を示すときに使います。
    例:「これから資料をお送りします」→「これから資料をお送りいたします。」
  • 「いたしております」:進行形・継続中。何かの対応や処理が続行中であることを示す。
    例:「ただ今、対応いたしておりますので、少々お待ちください。」
  • 「いたしておりました」:過去継続形。以前からその行為を行っていたことを表します。
    例:「以前よりそのプロジェクトを進めておりました」→「以前よりそのプロジェクトを進めていたしておりました。」

これらを柔軟に使い分けることで、時間的なニュアンスや状況をより正確に伝達できます。

英語で表すには?

英語には「いたしました」に対応する直接的な謙譲表現は存在しません。英語で敬意を示す場合は、表現全体のトーンや語彙選択、敬語的な副詞句を用いることで丁寧さを表します。

「いたしました」を英語で示すには、以下のようなフレーズが考えられます。

  • 「I have sent the documents.」
  • 「We have completed the process.」
  • 「I have finished reviewing the materials.」

また、丁寧さを強調したい場合には、”Could you kindly~”や”Would you please~”などの婉曲的な依頼表現や、”Thank you for your patience”など相手を労わるフレーズを組み合わせることで英語でも丁寧な印象を強めることが可能です。

Q&A:よくある質問

Q1:「いたしました」と「しました」は、どちらがビジネスで好まれますか?
A:ビジネスでより丁寧な印象を与えたい場合、「いたしました」が好まれます。「しました」は問題ありませんが、「いたしました」のほうが一段上の敬意を示せます。

Q2:「致しました」と「いたしました」はどう使い分けますか?
A:「いたしました」は柔らかく親しみやすい印象、「致しました」は公的・厳粛なニュアンスを強めます。普通のビジネスメールなら「いたしました」、式典用の文書や公式発表なら「致しました」といった使い分けが可能です。

Q3:上司や顧客以外にも「いたしました」を使うべきですか?
A:場面によります。社内の気軽なやり取りであれば「しました」でも問題ありませんが、少しでも改まった雰囲気を出したい場合や、初めて連絡する相手、外部関係者には「いたしました」を使うことで好印象につながります。

まとめ

「いたしました」は、ビジネスシーンやフォーマルな場面で相手への敬意と自分のへりくだりを示すために欠かせない表現です。「しました」よりも格上の丁寧さを演出し、「致しました」との微妙な違いも理解することで、コミュニケーションをより円滑に、より洗練されたものにできます。

本記事を参考に、「いたしました」を効果的に使い分け、適切な敬語運用が求められるビジネス社会で一歩先を行く表現力を身につけてください。少しの差が大きな信頼と好印象を生むことを、ぜひ実感してみてください。

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